三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンスなどの融資にあたり、自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分な配慮をすることを求める民間金融機関のガイドラインである「赤道原則」に2016年2月に署名しました。

赤道原則とは

赤道原則とは、民間金融機関が大規模なプロジェクトに融資を実施する際に、そのプロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮されていることを確認するための基準です。具体的には、プロジェクトファイナンスと特定プロジェクト向けのコーポレートファイナンス、および将来的にこれらに借り換えられる予定のつなぎ融資が対象となっており、プロジェクトの所在国や業種を問わず適用されます。
赤道原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいており、この基準・ガイドラインは、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。

赤道原則には2021年6月現在、世界118社(輸出信用機関を含む)が署名しています。署名金融機関は赤道原則に基づいた対策等をプロジェクト実施者に求め、特に発展途上国における大規模案件においては十分な配慮を要する場合が多く、赤道原則において求められる水準を満たさない場合は融資を行いません。

赤道原則が適用される金融商品の種類と規模等の要件

種類 規模等の適用要件
プロジェクトファイナンス プロジェクト総額が10百万米ドル相当以上の全ての案件
FA業務※1 同上
プロジェクト紐付きコーポレートローン※2
PRCL:Project-Related Corporate Laons

以下の3つの条件をすべて満たす場合

  • 1.
    借入額の過半が、特定のプロジェクトに向かい、かつ、当該プロジェクトの実質的な支配権(Effective Operational Control)を顧客が(直接的または間接的に)有する
  • 2.
    総借入額および当社コミット額(シンジケーション組成もしくはセルダウン前)が50百万米ドル以上
  • 3.
    貸出期間が2年以上
ブリッジローン 貸出期間2年未満で、上述条件を満たすプロジェクトファイナンス、もしくはPRCLによってリファイナンスされるごとを意図したもの
プロジェクト紐付きリファイナンス、プロジェクト紐付き買収ファイナンス

以下の3つの条件をすべて満たす場合

  • 1.
    当該プロジェクトが過去に赤道原則フレームワークに基づいて融資されている
  • 2.
    プロジェクトの規模あるいは目的の重大な変更が無い
  • 3.
    融資契約書の調印時点でプロジェクトが完工していない
  • ※1プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス
  • ※2 バイヤーズクレジット型の輸出金融は含み、サプライヤーズクレジット型の輸出金融は含みません。さらに、アセットファイナンス、ヘッジ取引、リース、信用状取引、一般資金、会社の操業維持を目的とした一般運転資金も除かれます。

赤道原則採択の背景

三井住友トラスト・グループでは「サステナビリティ方針」のもとに「環境方針」「人権方針」等を定めており、持続可能な社会の構築を目指すと共に、国際基準のESGリスクマネジメント体制の一層の強化に取り組んでおります。三井住友信託銀行は鉱山開発、石油・ガス開発、発電所、石油化学プラント、インフラ整備などの大規模プロジェクトへのファイナンスが間接的に自然環境や地域社会に負の影響を与える可能性があるという認識を持っています。また、環境問題や社会問題を原因としてプロジェクトが中断した場合の貸出債権の価値が劣化するリスクを回避・低減することも健全な金融機関としての責務と考えています。

当グループのサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の特定の結果、投融資先への環境・社会影響への対応の重要性が明らかになったため、プロジェクトファイナンスの与信判断プロセスに民間金融機関のグローバルスタンダードとなっている赤道原則に基づくリスクマネジメントの手順を組み込む必要があると判断し、採択することといたしました。

当社の基本方針

三井住友信託銀行は、赤道原則に則ったデューデリジェンスを実施することで継続的に顧客と協力して、持続可能な環境および社会の発展を促進し、より進化した金融、環境および社会的成果をもたらすことを目指しています。赤道原則に則ったデューデリジェンスを実施することは、当社と顧客、その他の利害関係者に大きな恩恵をもたらすものと考えています。

当社は、気候変動問題、生物多様性および人権の重要性を認識しており、プロジェクトがもたらす生態系・地域社会・気候への負の影響は、可能な限り回避されるべきであると考えます。もしこれらへの負の影響が回避できないのであれば、それらは最小化され、緩和され、またはオフセットされなければならないと考えます。

三井住友トラスト・グループのマテリアリティマップ

当社における赤道原則の運営体制

社内運営体制と赤道原則適用のプロセス

当社は赤道原則の採択にあたり、赤道原則の枠組みを踏まえた環境・社会への配慮方針及び環境・社会影響の評価手順を定めた社内運営ルールを制定し、個別のプロジェクトに関する環境・社会影響の評価をプロダクト業務部(プロジェクト環境チーム)が実施しております。

環境・社会影響レビューの実施

プロダクト業務部(プロジェクト環境チーム)は赤道原則および赤道原則運用ガイドラインにもとづき、赤道原則の適用対象となる案件について、事業者によるプロジェクトの環境・社会に配慮する対応が、赤道原則が求める水準を満たしているか否かを確認する環境・社会影響レビューを実施します。環境・社会影響レビューにおいては、対象プロジェクトはスクリーニングフォームに基づき環境・社会リスクに応じて以下のA、B、Cの3つのカテゴリーに分類されます。プロダクト業務部(プロジェクト環境チーム)は、カテゴリーとプロジェクトの所在国(指定国、非指定国)や業種に応じた環境影響評価書等を元に詳細なレビューを実施します。環境・社会影響レビューの結果は審査部署へ送付され、審査部署は当該レビュー結果も踏まえたうえで、総合的なリスク判断を行います。

カテゴリー 定義
A 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。
B 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。
C 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。

赤道原則遵守状況のモニタリング

環境・社会関連法規制、許認可に関する重要項目を遵守する旨を融資契約書に反映し、借入人から提出される定期報告書等により、赤道原則適用案件が環境・社会関連の諸規則を遵守して行われているか定期的に確認しています。

社内研修体制

2016年2月の赤道原則採択に際し、赤道原則の概念及び環境・社会影響レビューの実施フローに対する理解を醸成するため、営業担当部門、評価部門、審査部門、その他関連部署を主な対象として複数回にわたり社内研修を実施いたしました。その後も海外営業店部を含めて研修を実施してきましたが、今後も定期的な社内研修の実施を通じて、赤道原則の理念と環境・社会影響評価のプロセスに対する理解を深め、従業員の環境・社会配慮に対する意識の向上に一層努めてまいります。

赤道原則適用実績

以下の情報の開示において、2020年9月までの期間については赤道原則第3次改訂版を、2020年10月以降は赤道原則第4次改訂版を適用しています。2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)に調印した赤道原則適用案件は以下の通りです(FA業務、ブリッジローン、プロジェクト紐付きコーポレートローンの適用実績はありません)。
✓マークのある実績については、PwC サステナビリティ合同会社による第三者保証を取得しています。

プロジェクトファイナンス

プロジェクト紐付きリファイナンス、プロジェクト紐付き買収ファイナンス

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