2019年3月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

不二製油グループ本社は、人と地球の健康という課題に対して植物性食品素材によるソリューションで取り組み、社会の一員としてサステナブル社会に貢献することを経営理念とし、その詳細を「グループ憲法」として定め、全世界の従業員に周知徹底している。また、ブランド・プロミスとして植物性食品素材で世界の社会課題を解決することを目指す「Plant-Based Food Solutions」を掲げている(図表①(*1))。

サステナビリティに関する体制としては、不二製油グループ本社にESG委員会が取締役会の諮問機関という位置づけで設置されており、ESGマテリアリティの特定は、同委員会での検討を経たうえで取締役会に承認を得ている(図表②(*2))。

不二製油グループでは、年1回ESGマテリアリティのレビュー・特定を行っている。新たな社会課題など、ステークホルダーとの対話の結果、同社に寄せられた助言に基づき、2020年度に取り組む「ESGマテリアリティ」を特定した(図表③(*3))。特定に際しては、マテリアリティマップをもとにESG委員会での審議を行い、取締役会の承認を得ている。

不二製油グループ本社は、包括的なインパクト分析に当たり、グループ全体について、セグメント、エリア、サプライチェーンの多様な切り口からインパクトを生み出す要因を分析している。これにより会社全体の事業活動について、くまなく網羅した分析となっている。当該分析の結果、サプライチェーンの上流(原料調達)、中流(生産・販売等を行う工場の活動)、下流(消費)別にそれぞれインパクトを特定し、KPIを設定した(図表④)。

図表①:不二製油グループ経営概念図 左図表:2019年契約当初~2021年度 右図表:2022年度以降

(*1)左図表は、2019年契約当初~2021年度。右図表は2022年度以降の経営概念図。

図表②:サステナビリティ経営推進体制 2022年度

(*2)2022年度に「ESG委員会」から「サステナビリティ委員会」へ名称変更。エリア統括会社の代表も委員会メンバーに追加

図表③:マテリアリティ 2022年度

(*3)図表は2022年度のESGマテリアリティマップ

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンス契約時に設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 SDGs
サステナブル調達
人権・環境に配慮した主原料調達(パーム油等)
12 つくる責任 つかう責任
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
生産活動における環境負荷低減
「不二製油グループ環境ビジョン」における気候変動、水、廃棄物対策
6 安全な水とトイレを世界中に
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
食の創造によるソリューション提供と食の安全・安心・品質
Plant-Based Food Solutions(植物性食品素材で世界の社会課題を解決する取組み)
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
9 産業と技術革新の基盤をつくろう

上記KPIのモニタリング状況

開示資料

目標と指標(KPI) 2018年度実績 2019年度実績 2020年度実績 2021年度実績
1
サプライチェーン上流(原料調達)
目標

環境と人権に配慮したサステナブル調達

調達過程におけるNDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)を目的とした、サプライチェーン改善活動及びトレーサビリティ確保等の取組み

KPI
  • 搾油工場までのパーム油トレーサビリティスコア
  • 農園までのパーム油トレーサビリティスコア(TTP)

2021年度にKPI「農園までのパーム油トレーサビリティスコア(TTP)」を追加。2022年度には2025年度目標を75%から85%に引き上げております。

  • 上期:98%
  • 下期:99%
  • 上期:99%
  • 下期:100%
  • TTM:100%
  • TTP:71%
  • TTM:100%
  • TTP:85%
  • グリーバンスメカニズムに登録されている事案の件数
2018年5月に運用開始、2019年5月時点で23件(うち6件について対応を「Closed」)
2020年6月末時点で147件(取引が確認された108件のうち9件は取組み完了、45件は取組み完了後のモニタリングの継続、11件は取引の一時停止、43件はサプライヤーと協議中)
2021年3月末時点で228件(内14%は「取り組み完了」、30%は「取り組み完了後、モニタリング」、32%は「サプライヤーと協働しながら問題解決の取り組みを推進/取引再開に向けた改善状況のモニタリング」、10%は「取引や調達の一時停止、取引の一時停止後、あるいは一時停止に向けたエンゲージメント」、14%は「未購入」)
2021年3月末時点で261件
2

サプライチェーン中流(生産・加工)

2022年度に目標とKPIの表記方法を、同社が掲げている「環境ビジョン2030」の表記内容へ統合

目標

不二製油グループ全体のCO2排出量、水使用量、廃棄物量の削減

KPI

「環境ビジョン2030」の達成

CO2排出量の削減 (2016年比) :

  • Scope1+2総量40%削減(グループ全体)
  • Scope3総量(カテゴリ1)18%削減(グループ全体)

2021年に「Scope3総量(カテゴリ1)18%削減を追加しております。

  • CO2排出量総量:438,654t-CO2
  • 2016年度比14.1%削減
  • CO2排出量総量:438,019t-CO2
  • 2016年度比14.3%削減
①Scope1+2
  • CO2排出量総量:412,297t-CO2
  • 2016年度比19.3%削減
②Scope3(カテゴリ1)
  • CO2排出量総量:2,767,179t-CO2
  • 2016年度比6.1%%増加

基準年以降にブラマー チョコレート カンパニー(米国)が加わったことを受け、対基準年比増加。今後、サプライヤーへのエンゲージメントを強化し、削減に努める方針。

①Scope1+2
  • CO2排出量総量:403,761t-CO2
  • 2016年度比21.0%削減
②Scope3(カテゴリ1)
  • CO2排出量総量:2,611,435t-CO2
  • 2016年度比0.1%増加
  • 水使用量の削減(2016年度比):
    水使用量原単位で20%削減(グループ全体)
  • 水使用量原単位:2.45kL/ton
  • 2016年度比14.3%削減
  • 水使用量原単位:2.27kL/ton
  • 2016年度比20.6%削減
  • 水使用量原単位:2.23kL/ton
  • 2016年度比22.0%削減
  • 水使用量原単位:2.15kL/ton
  • 2016年度比24.8%削減
  • 廃棄物量の削減(2016年度比):
    廃棄物排出量原単位で10%削減(グループ全体)
  • 廃棄物排出量原単位:22.7kg/ton
  • 2016年度比6.1%増加
  • 廃棄物排出量原単位:20.3kg/ton
  • 2016年度比5.1%削減

廃棄物総排出量が増加した主な要因として、汚泥、植物性残渣の増加、国の規制等の変更により一部の廃白土の有価での引き取り先が無くなったこと、およびブラマーチョコレートカンパニー(米国)が不二製油グループに加わったため。

  • 廃棄物排出量原単位:20.3kg/ton
  • 2016年度比5.1%削減

目標達成に向け各グループ会社で廃棄物削減活動を実施。国内では各グループ会社で継続して生産ロスの低減などの削減活動を実施。

  • 廃棄物排出量原単位:20.1kg/ton
  • 2016年度比6.1%削減

海外グループ会社の一部の拠点で、自社基準で廃棄物量から除かれる物量(有価売却など)が廃棄物量に含まれていたため、目標基準年の2016年度以降、廃棄物量の修正と原単位の再計算を実施。

  • 資源リサイクル:
    2030年まで廃棄物再資源化率99.8%以上を維持(日本国内グループ会社)
99.33%
99.33%
99.37%
99.47%
3
サプライチェーン下流(消費)
目標

Plant-Baed Food Solutions(植物性食品素材による世界の社会課題の解決)の推進と食の安全・安心・品質の確保の取組み

KPI

地球環境負荷の低い植物性タンパク質による食資源不足の課題解決への貢献

  • 粒状大豆たんぱく能力増を決定
  • 水溶性大豆多糖類能力増強完了
粒状大豆たん白工場を国内に増設2020年7月稼働開始。植物性たん白代替の植物性食品素材の販売量は前年度比140%伸長。糖の過剰摂取に対応する取組みとして、糖質の一部をたん白で代替した食品の拡大。ノンシュガーチョコレート増産・新素材研究などを推進。
千葉工場(粒状大豆たん白)を2020年7月より稼働し、当初計画通り生産。食肉代替製品および植物性チーズ様食品(ソイデリスシュレッド)を上市しPBFラインナップ拡大。環境問題や人口増加など食に関わる課題解決に寄与する新領域への参画を目的とした、フードテック型ファンドへの出資決定。
本格的な肉素材・食肉製品を目指したおいしい大豆ミート素材、食品(植物性ナゲットなど)10品の上市。植物性素材をベースとしたミルク・クリーム(アーモンドホイップなど)5品の上市。
  • 健康油脂(安定化DHA・EPA)や植物性機能素材開発の促進
安定化DHA・EPAについて2019年度下期本格発売に向けて進めている。
安定化DHA・EPAの海外拡販に向けてシンガポール生産拠点に製造設備の導入。水溶性えんどう多糖類の生産会社をドイツに設立。
島根大医学部と共同研究を実施し、安定化DHAを含む乳飲料の摂取が高齢者の加齢に伴う認知機能の低下を抑制することを解明。また産学官連携PTを立ち上げ、大豆ペプチドの研究開発を加速。
  • 安定化DHA・EPAの新たな健康機能エビデンスの学術論文への掲載
  • DHAを機能性関与成分とした乳飲料の機能性表示食品としての受理
  • 認知症予防をターゲットとしたエコシステム構築のための計画策定
  • トランス脂肪酸含有量の低減
アメリカで拡大する低トランス脂肪酸油脂の需要に応える植物性油脂の新工場の建設を開始。
WHO(世界保健機関)の指針に沿ったトランス脂肪酸摂取量の低減のグループの目標値を定め取組みを強化。アメリカでは拡大する低トランス脂肪酸油脂の需要にこたえるため新工場を建設中。
トランス脂肪酸低減製品への切り替えが計画通り順調に進み、今までに海外の対象グループ会社のうち約半数にあたる8社で低トランス製品への全量切り替えが完了。米国では、低トランス法制化に伴うエステル交換油脂の需要増に対応するため、新拠点の稼働準備を促進。アメリカ新工場の稼働開始。
海外の対象グループ会社14社のうち10社で低トランス脂肪酸製品への変更が完了(2022年3月時点)
  • 植物性たん白源の普及のため、おいしさの追求と消費者に選択する意義を理解していただく仕組みづくり
社会課題解決ソリューションをコンセプトとした自社発信型提案を展開。
コンセプト店舗の開設など、一般消費者に対して植物性たんぱく由来食品の認知度向上に向けた取組みを開始。
Plant-Baed Food Solutions(PBFS)普及に向け、UPGRADEのポップアップ店舗やキッチンカ―を展開。植物性素材のみを原料とした豚骨風スープベースを共同開発し、プラントベース素材のラーメンを期間限定発売。植物性素材の可能性を幅広い層に認知する活動に貢献。
産官学民連携によるPBFを取入れた新しいライフスタイル普及と持続可能な社会の実現を目的に、2021 年 3 月幹事会社として任意団体”Plant Based Lifestyle Lab”を設立。
  • 2021年10月、Plant Based Lifestyle Lab(P-LAB)を一般社団法人化、46社加盟(2023年1月時点)。動物性食品を否定せず、普段の生活にPBFを取り入れることが当たり前になるような社会を目指し、産官学民連携で、PBF普及啓発イベントや情報基盤づくりを推進中。
  • グループ全体での品質保証体制の構築と不二製油株式会社の全工場における2020年3月末までのFSSC22000またはISO22000の取得
  • 品質保証規定及び細則の制定
  • 日本で10工場追加取得(国内既存工場68%達成)
  • 世界の食品に関する情報を収集し、グループ会社へ発信する情報共有の取組みを開始。
  • 品質保証規程の理解を深めるために、規定で定めた「品質保証活動」の資料を作成しグループ会社へ配布。
2020年3月末までに不二製油株式会社全工場においてFSSC22000またはISO22000取得完了。品質情報共有プラットフォームを構築し、品質管理者間のネットワークを強化中。
2020年度に不二製油株式会社全工場においてFSSC22000またはISO22000取得完了。

プレスリリース

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