ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(カシオ計算機株式会社)
2023年1月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
カシオ計算機は、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、世の中の役に立ち続けることを目指した、「創造 貢献」の経営理念のもと、電子腕時計、電卓や電子辞書など様々な製品を世に送り出している。
同社は、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」という同社の存在価値や同社が大切にする価値観(5C)を起点に、「成長戦略の加速」と「経営基盤の抜本的改革」に取り組むことで、2030年度に企業価値最大化を目指す「New CASIO C30プロジェクト」を推進している(図表①)。
同社は環境戦略担当役員を委員長とし、CEO、CFO、CHRO、各事業責任者、各機能本部責任者、スタッフ担当役員で構成される「サステナビリティ委員会」を設置している。当該委員会は、サステナビリティに関する重要事項を「経営会議」との連携を深めながら、機能軸・事業軸の各責任者において十分に議論の上、「取締役会」に諮っている。これにより、重要事項に関する経営としての意思決定や、重要事項の推進状況に対する監督が適切になされる体制を整備している(図表②)。
同社は、事業活動を通じて戦略的に持続可能な社会の実現に向けて取り組むべく、社内外のステークホルダーの意見を取り入れながら議論を重ね、6つのマテリアリティを特定するとともに、各マテリアリティごとに重点施策・KPIを設定し、サステナビリティ管理体制のもとで進捗管理を行っている(図表③)。
本評価においては、同社の事業活動全体に対する包括的分析が行われ、「温室効果ガス排出削減への貢献」・「環境負荷低減」・「各国の教育ニーズに対応した製品の提供による教育レベルの向上」・「サプライチェーンマネジメントの強化」の4項目のインパクトを特定し、それぞれのインパクトについて目標と指標(KPI)を設定した(図表④)。
図表①:New CASIO C30プロジェクトの概要
図表②:サステナビリティ推進体制
図表③:マテリアリティと中期戦略目標
図表④:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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温室効果ガス排出削減への貢献 | 省エネルギー化、再生可能エネルギー導入の拡大及びバリューチェーンにおける排出量削減に向けた取組により、脱炭素社会の実現に貢献する |
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環境負荷低減 | バリューチェーン全体を通じた環境負荷の最小化の実現 |
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各国の教育ニーズに対応した製品の提供による教育レベルの向上 | あらゆる教育環境に対応したハード・ソフトの提供で、世界の教育に貢献し続ける |
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サプライチェーンマネジメントの強化 | 法令・社会規範の順守、環境保全への配慮等の社会的責任をサプライチェーンを通じて遂行する |
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上記KPIのモニタリング状況
目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | ||
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1 | 温室効果ガス排出削減への貢献 |
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24.4% | ||||
2 | 環境負荷低減 |
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74.3% | ||
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5.1% | ||||
3 | 各国の教育ニーズに対応した製品の提供による教育レベルの向上 |
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4 | サプライチェーンマネジメントの強化 |
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