自然資本に対する取り組み

当社は気候変動リスクと同様に、自然資本関連リスクについても、当社の貸出・資産運用業務に影響を与え得る重要なリスクと認識し、2000年代から自然資本の適切な評価、保全に資するさまざまな金融商品・サービスの開発に取り組んできました。

2023年9月にはグローバルな金融の流れをネイチャーポジティブな事業にシフトさせるべく、企業に自然資本の情報開示を促す「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)」(以下、TNFD)が公表され、自然資本の重要性は社会全体でより強く認識されるようになりました。

当社は2023年にTNFDフォーラムに参画、2024年度は自然関連のリスクを把握し、基本的な理解を深めるために試行的な分析に着手しました。

金融機関は投融資先を通じた自然資本や生物多様性とのつながりがあることから、当社は自然に関する依存と影響、リスクの特定にあたり、「ENCORE」を用いて三井住友信託銀行の投融資ポートフォリオの中から重要セクターを選定し、当該セクターにおける分析を行いました。

国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、UNEP FI、Global CanopyからなるEncore Partnershipが、自然関連リスクに関する様々な既存ツールの結果を一括で評価できるよう開発したツール

グループ各社の主な取り組み

三井住友信託銀行

森林信託の受託

2020年に岡山県西粟倉村に森林を所有する個人のお客さまより、約10haの森林を信託財産とする「森林信託」を受託しました。当社は所有者に代わって林業事業体への経営の委託、収入の管理を実施し、信託配当を行います。施業を行う林業事業体は林業経営の効率化が図れると共に、相続等により土地所有者が分からなくなる事態も防ぐことで、行き届いた森林整備・保全の継続性を高めることができます。

「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の開発

2019年に資金使途を特定しない「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」を開発しました。PIFは企業活動が経済・社会・環境にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、ポジティブインパクトの拡大とネガティブインパクトの緩和を通じて、お客さまの企業価値と社会価値向上を支援することを目指したもので、評価指標を用いて融資先企業がSDGs達成への貢献度合いを具体的に明示し、開示することが特徴です。当該評価指標はお客さまそれぞれの事業特性に応じて設定していますが、自然資本・生物多様性に関する内容を設定しているPIFもあります。

ESG・環境不動産コンサルティング

三井住友信託銀行では2010年に環境不動産専担チームを設立し、建物の環境性能を評価するCASBEE-不動産評価認証の取得サポートを中心に、環境不動産の普及をリードしてきました。現在は建築コンサルティングのメニューとして建物のライフサイクル全体のコスト、省エネシステムの導入、景観や生態系への配慮、建物長寿命化など、環境配慮に関するアドバイスも行っています。

三井住友トラスト・アセットマネジメント

三井住友トラスト・アセットマネジメントは、投資家として自然資本関連のグローバルイニシアティブへ参加すると共に、企業などステークホルダーとの積極的なエンゲージメントを行ってきました。TNFDには、2020年9月の準備委員会立ち上げから唯一の本邦運用機関として参加し、枠組み整備から運営方法の議論を通じて発足に貢献しました。2024年1月にはTNFD Early Adopter として同提言に基づく早期開示の実施を表明し、同年10月に初めてのTCFD TNFDレポートを発行しました。

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