事業活動に起因する環境負荷削減の取り組み
業務効率化の枠組みと一体化した環境マネジメントシステムの運用
当グループは、事業活動から生じる環境負荷削減の取り組みを業務効率化推進の枠組みのもとで展開する、環境マネジメントシステムを運用しています。このシステムは、時間(労働生産性)、物品(資源生産性)、経費(資金効率性)に関して、共通の活動を通じて「業務効率化」「環境負荷削減」「経費削減」を同時達成することを目的としています。具体的には主たる活動を業務フローの見直しや残業時間削減のシフト変更などの業務効率化を目指す活動におき、それに付随する形で、紙の使用量の削減、残業時間帯の照明や空調の使用に伴う電力使用量の削減といった効果が得られる運用を目指しています。
環境負荷削減の対象項目は①電力使用量(CO2排出量)削減、②紙使用量の削減、③廃棄物発生量の削減、④グリーン購入(CSR調達)の4項目としています。業務効率化の推進は全店部で実施しており、全店部で環境負荷削減の意識付けを図っています。当社単独の取り組みでは解決が難しい問題では、サプライヤーに素材の変更を依頼するなどCSR調達におけるサプライチェーンマネジメントでの対応を推進しています。
業務効率化、環境負荷削減、経費削減の同時達成の取り組み事例
取り組み事例 | 業務効率化の効果 | 経費削減の効果 | 環境負荷削減の効果 |
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会議のペーパーレス化 | コピー作成、資料差し替え等の業務負担軽減および時間削減。情報漏洩防止 | 紙購入代金の削減、廃棄物処理費用の削減 | 紙使用量削減による森林資源保全、廃棄物削減による環境保全 |
時間外削減のための業務平準化、時間管理(定時退社励行、早帰り日設定) | 時間外削減を通じ捻出したオフ時間での自発的活動 | 時間外人件費の削減。時間外照明・空調使用等による電気代の削減 | 電力使用量削減による地球温暖化防止効果 |
三井住友信託銀行のCO2排出量削減の取り組み
当グループでは、事業活動に投入する電力、ガスなどのインプットと、事業活動から排出されるCO2のアウトプットの双方の環境負荷削減に努めています。三井住友信託銀行は省エネ法の適用を受けており、全国の全ての拠点におけるエネルギー使用量、CO2排出量を共通のシステムを活用して集計しています。2015年度以降の直近の5年間をとおして、事業に投入する総エネルギー使用量は毎年着実に減少し、5年間で20.0%の削減となっています。2019年度における国内全拠点での電力使用量は54百万kWhと前年度の56百万kWhから2.2%削減しました。都市ガス使用量は1.8百万m3と前年度とほぼ横ばいとなりました。電力の削減は、大規模拠点による省エネの促進や店舗の統廃合による効果によるものです。当グループの施設で最も電力使用量の多い府中ビルでは時間外の空調使用を社員の退出に厳格に合わせるなどの運用の徹底を推進し、各部署に対して運用上の集計データをフィードバックすることで意識付けと実践の周知徹底を図り大きな成果を得ています。
地球温暖化の原因となるCO2の排出に関しては、2019年度の年間排出量は31,327t-CO2となり、ピークであった2013年度の50,605t-CO2と比較して38.1%削減しています。scope1排出量、scope2排出量ともに直近5年間(2015年度比)では11.6%、30.7%と大幅に削減しています。大規模拠点ビルの廃止や店舗の統廃合によって総床面積が大きく減少していますが、2019年度における床面積当たりの排出量原単位は0.085t-CO2/m2と2015年度比17.5%の削減を達成しています。
また、三井住友信託銀行の東京都内にある、本店ビル、府中ビル、芝ビルの3カ所の大規模拠点は、東京都環境確保条例によるCO2排出量削減義務(本店ビルは建物の他の区分所有者との共同での削減義務)を負っています。着実に排出量を削減しており、第二計画期間(2015年度から2019年度)の5年間では、削減義務量が合計31,378t-CO2であるところ、削減量は91,726t-CO2と60,348t-CO2という大幅な超過削減を達成しました。第一計画期間(2010年度から2014年度)の超過達成によって獲得した47,540t-CO2の排出権の活用せずに第二計画期間の目標を達成しました。第三計画期間(2020年度から2024年度)についても、削減義務が厳しくなりますが、達成に向けて取り組みを推進します。
エネルギー使用量とCO2排出量の推移(国内拠点)
エネルギー使用 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
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総エネルギー使用量(熱量) | GJ | 846,829 | 801,370 | 736,011 | 688,949 | 677,157 |
総エネルギー使用量(原油換算) | kl | 21,848 | 20,675 | 18,989 | 17,774 | 17,470 |
エネルギー使用原単位 | kl/m2 | 0.051 | 0.049 | 0.047 | 0.048 | 0.047 |
電力 | 千kWh | 71,206 | 66,742 | 60,444 | 56,003 | 54,753 |
都市ガス | 千m3 | 2,153 | 2,107 | 1,996 | 1,869 | 1,893 |
CO2排出 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
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温室効果ガス排出量 | t-CO2 | 43,816 | 40,833 | 37,068 | 33,504 | 31,327 |
調整後温室効果ガス排出量 | t-CO2 | 43,470 | 40,393 | 36,240 | 32,864 | 30,840 |
排出量原単位 | t-CO2/m2 | 0.103 | 0.098 | 0.093 | 0.090 | 0.085 |
排出量原単位(調整後) | t-CO2/m2 | 0.102 | 0.097 | 0.091 | 0.088 | 0.084 |
scope1排出量 | t-CO2 | 5,002 | 4,907 | 4,575 | 4,362 | 4,421 |
scope2排出量 | t-CO2 | 38,813 | 35,925 | 32,493 | 29,142 | 26,906 |
- 算定範囲:省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の対象となる三井住友信託銀行の国内の施設。
一部の施設には三井住友トラスト・アセットマネジメントを含むグループ会社も入居。 - 算定方法:省エネ法の算定方法に準拠して算定。
東京都環境確保条例の対象拠点のCO2排出量の推移
第二計画期間 | |||||||
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2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 合計 | ||
基準排出量 | t-CO2 | 51,733 | 52,511 | 41,123 | 41,123 | 41,123 | 227,613 |
排出上限量 | t-CO2 | 44,402 | 45,048 | 35,595 | 35,595 | 35,595 | 196,235 |
削減義務量 | t-CO2 | 7,331 | 7,463 | 5,528 | 5,528 | 5,528 | 31,378 |
CO2排出量 | t-CO2 | 31,735 | 30,550 | 24,926 | 24,806 | 23,870 | 135,887 |
排出削減量 | t-CO2 | 19,998 | 21,961 | 16,197 | 16,317 | 17,253 | 91,726 |
超過削減量 | t-CO2 | 12,667 | 14,498 | 10,669 | 10,789 | 11,725 | 60,348 |
東京都環境確保条例の「温室効果ガス排出量削減義務と排出量取引制度」による排出量削減義務を負う三井住友信託銀行の4拠点(府中ビル、芝ビル、調布ビル、目黒ビル)および本店ビルの削減状況。
2017年度より調布ビル、目黒ビルが対象外。
削減義務率は本店ビルが6%、そのほかの拠点は17%。
本店ビルは共同ビルですが、区分所有者ごとの義務率は定めていません。
第一計画期間の超過削減量47,540t-CO2は全て第二計画期間に繰り越しています。
排出量は第三者検証機関による検証を受けています。
2020年度までの中長期目標の達成状況
当グループでは全国銀行協会の銀行界としての取り組みとして定めた2020年度までの中長期目標に基づき、電力使用量の削減に対する取り組みを推進してきました。電力使用量の削減に関しては、全国銀行協会が設定した延べ床面積当たりの電力使用量の削減目標に関して、2019年度時点で2009年度比29.7%と大幅な削減を達成しました。
三井住友信託銀行環境中長期目標
CO2削減(電力使用削減) | 2020年度における電力使用原単位(電力使用量/延べ床面積)を2009年度比で10.5%減とする。(三井住友信託銀行) |
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電力使用原単位に関する環境中長期目標の達成状況
2009年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | ||
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電力使用原単位 | kWh/m2 | 213.31 | 161.06 | 152.60 | 151.32 | 149.93 |
2009年度比 | — | -24.5% | -28.5% | -29.1% | -29.7% | |
電力使用起源CO2排出量原単位 | t-CO2/m2 | 0.087 | 0.081 | 0.076 | 0.072 | 0.067 |
2009年度比 | — | -6.9% | -12.7% | -17.1% | -22.9% |
2009年度は経営統合前の各行の合計により算出
その他の環境負荷削減の取り組み
紙の使用量については、2019年度は676tと前年度比30t(4.2%)減少しました。今後も業務効率化活動を推進し、紙使用量の削減に努めます。アウトプット項目では、紙ごみの排出量は前年度比90t削減し、リサイクル率は100%を維持しています。紙ごみ以外のその他の廃棄物は336tと前年度比16.3%の増加となりました。一方で、リサイクル率は62%と直近5年間で最も高い値となりました。循環型社会形成の推進のため、コピー用紙に関しては引き続き古紙100%の再生紙の購入に努め、総廃棄物発生量の削減やリサイクルによる有効利用にも努めていきます。PCB特別措置法やフロン排出抑制法などによって事業者に課せられる機器や化学物質の適正な管理・処分に努めます。
紙、水の使用、廃棄物排出、リサイクルに関するパフォーマンス
2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |||
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紙投入量 | t | 726 | 712 | 738 | 706 | 676 | |
紙投入量 | うち再生紙 | t | 526 | 596 | 566 | 568 | 531 |
水使用量 | 千m3 | 166 | 166 | 139 | 127 | 122 | |
廃棄物等総排出量 | t | 1,347 | 1,756 | 1,332 | 1,304 | 1,268 | |
紙排出量 | t | 946 | 1,280 | 1,050 | 1,025 | 933 | |
紙排出量 | うち再生利用量 | t | 930 | 1,280 | 1,050 | 1,025 | 933 |
紙排出量 | リサイクル率 | % | 98 | 100 | 100 | 100 | 100 |
その他廃棄物排出量 | t | 401 | 477 | 282 | 289 | 336 | |
その他廃棄物排出量 | うち再利用量 | t | 124 | 132 | 115 | 137 | 207 |
その他廃棄物排出量 | リサイクル率 | % | 31 | 28 | 41 | 47 | 62 |
集計範囲:拠点ビル(水使用量は一部支店を除く)