自然資本とは何か

多様な生物とそれを育む水、土壌、大気などは、自然資本と呼ばれます。これらは地球生命を維持する基盤であり、あらゆるものに優先し、保全される必要があります。人間の生活は自然資本とそれが生み出す生態系サービスに依って成り立っています。それゆえに自然資本を構成する自然資源を賢く活用し続けることは、環境保全だけでなく社会の基盤を固め、経済の発展を持続可能なものにすると考えられます。

自然資本ファイナンス・アライアンス(旧:自然資本宣言)

三井住友トラスト・ホールディングスは、2012年6月にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「自然資本宣言(The NaturalCapital Declaration)」に署名しました。三井住友トラスト・ホールディングスは国内で唯一の当初からの署名金融機関です。なお、自然資本宣言は「自然資本ファイナンス・アライアンス(Natural Capital Finance Alliance)」と組織を発展的に改組して取り組みを拡大しています。

Natural Capital Finance Alliance Finance sector leadership on natural capital

ローン、投資、保険ポリシーなどあらゆる金融商品・サービスの意思決定プロセスに自然資本という考え方を統合する場合の方法論開発を支援する。

  • (a)
    投資先企業の短期・中期・長期的成長の予測におけるESG(環境、社会、ガバナンス)リスク分析に、自然資本の考え方を取り入れることで、債券や株式の評価に全体的アプローチを適用する。
  • (b)
    コモディティを含む、自然資本に直接的あるいはサプライチェーンを通じて間接的に多大な影響を与える特定セクターのクレジットポリシーに、自然資本を評価する考え方を体系的に取り入れる。
自然資本ファイナンス・アライアンスにおける金融機関のコミットメント(抜粋)

当グループのビジネスにおけるこれまでの主な取り組み

2000年 経団連自然保護協議会から公益信託「経団連自然保護基金」を受託(銀行)
2008年 ビジネスと生物多様性イニシアティブ・リーダーシップ宣言に署名(ホールディングス)
生物多様性問題対応基本ポリシー(現生物多様性保全行動指針)制定(ホールディングス)
TEEB(生態系と生物多様性の経済学)中間報告の翻訳(銀行)
2010年 生物多様性に特化した日本株投資信託「いきものがたり」を開発(資産運用会社)
2012年 国連持続可能な開発会議(リオ+20)においてUNEP FIが提唱した「自然資本宣言(現自然資本ファイナンス・アライアンス)」に署名(ホールディングス)
2013年 自然資本評価型環境格付融資を開発(銀行)
自然資本研究会を組成(銀行)
2016年 赤道原則に署名(銀行)
2018年 主に水産・畜産業に取り組むエンゲージメント団体FAIRRに参加(資産運用会社)
2019年 ポジティブ・インパクト・ファイナンスを開発(銀行)
2020年 融資におけるセクターポリシーの制定(銀行)
岡山県西粟倉村から森林信託を受託(銀行)
TNFD(Task force for Nature-related Financial Disclosures)ワーキンググループに参加(資産運用会社)

括弧内は現在の取り組み主体

ビジネスと生物多様性イニシアティブ・リーダーシップ宣言の取り組み状況

三井住友トラスト・ホールディングスは、2008年5月にドイツで開催された生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)において、ドイツ政府が主導した「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」に賛同し、リーダーシップ宣言に署名しました。その後も本宣言を活動の指針として取り組みを継続しています。

宣言内容 2019-2020年の取り組み状況
1.企業活動が生物多様性に与える影響について分析を行う 自然資本評価型環境格付融資、経済・社会・環境へのインパクトを包括的に分析するポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、資産運用会社のエンゲージメントに際して投資先の取り組みを分析。
2.企業の環境管理システムに生物多様性の保全を組み込み、生物多様性指標を作成する サステナビリティ推進体制の中で自然資本に関する取り組みについて年度計画を策定し、半期ごとに実績をレビューしている。
3.生物多様性部門の全ての活動の指揮を執り、役員会に報告を行う担当者を企業内で指名する サステナビリティ推進部長が全ての活動の指揮を執り、経営会議への報告を行っている。
4.2~3年ごとにモニターし、調整できるような現実的かつ測定可能な目標を設定する SDGsゴールに向けた課題を踏まえた目標の設定
5.年次報告書、環境報告書、CSR報告書にて、生物多様性部門における全ての活動と成果を公表する 自然資本レポートの作成
6.生物多様性に関する目標を納入業者(supplier)に通知し、納入業者の活動を企業の目標に合うように統合していく 生物多様性への影響が大きい熱帯雨林の違法伐採に関わるコピー用紙、文房具の調達への注視を継続。運用会社において熱帯雨林等に関わる投資家としてエンゲージメントを実施。PIFにおいて融資先との間で自然に関わるKPIを設定しモニタリングを継続。
7.対話を深め、生物多様性部門の管理システムを引き続き改善していくために、科学機関やNGOとの協調を検討する UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)のポジティブインパクト金融行動原則に賛同し、自然資本を含むインパクト評価の手法の確立と高度化に向けた取り組みに積極的に参画した。
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