人材戦略
当グループでは、社員を価値創造の源泉となる重要な資本の一つ(人的資本)として位置付けるとともに、当グループが直接的なインパクトを提供するステークホルダーと考えています。
当グループの人事の基本方針に則り、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの理念に基づいた「人材力の強化」と「職場環境の整備」の両輪で、トータルなソリューションをご提供する人材集団のレベルアップを図り、企業価値の向上につなげていきます。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
当グループでは、「個々人の多様性と創造性を経営に生かす」というダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の概念そのものを経営理念(ミッション)として有しているとともに、個々人の多様性と創造性が組織の付加価値として存分に生かされることを人事の基本方針として掲げています。信託銀行グループのビジネスモデルは、組織の多様性を生かしてお客さまに付加価値をご提供することです。元来、組織として多様性を尊重する考えを有していますが、社員一人一人が改めて当グループの強みを認識し、DE&I推進に取り組むことが重要と考えています。当社および三井住友信託銀行は人事部内にダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進室(DE&I推進室)を設置しています。三井住友信託銀行のDE&I推進室は、人事部の専任担当者と各事業統括部のメンバーで構成され、社員個人の働き方の多様化を進めるとともに、企業価値の向上につながる各事業の実情に合ったDE&I施策を推進しています。
人材力の強化
(1)鍛える人材配置とOJT※
当グループの人材育成はOJTを基本としていますが、併せて成長意欲を喚起し本人の持つ能力を最大限発揮できる配置も重視しています。三井住友信託銀行では、2018年度より若手社員が入社後の一定期間内に複数業務領域を経験する制度を導入しています。また、「信託業務に関する高い専門知識」と「受託者精神への深い理解」を有する人材を養成する目的で実施する信託研修生制度などを推進しています。
※On-the-Job-Trainingの略:職場内での上司・先輩が、部下に日常の仕事を通じて、必要な知識・技能・仕事への取り組みなどを教育すること。
(2)研修をはじめとしたOff-JT※の充実
当グループは、『SuMiTRUST University』という名の社内大学を設立し、業務スキルやマネジメント能力などの向上を目的とした業務直結型の研修や自己研さんを促すための自己啓発制度において、数多くのプログラムを提供しています。2020年度からは「いつでも」「どこでも」「誰でも」学べるを新たなコンセプトとし、オンライン研修やオンデマンドの学習コンテンツの拡充、大学らしい履修管理システムや受講生同士でコミュニケーションが取れるプラットフォームの構築等、更なる進化を目指しているグループ横断的なプログラムです。社内に蓄積された知識・経験を学ぶものだけでなく、大学等外部の教育機関と連携し、幅広い学びの機会を提供していることも特徴のひとつです。
※Off-the-Job-Trainingの略:講習会や研修などにより、OJTでは習得できない知識やスキルを教育すること。
(3)リーダーシップの強化
三井住友信託銀行は、次世代経営者候補の育成のため、一橋大学大学院の協力を得ながら、経営を担っていく上で必要となる価値観や一般教養(リベラルアーツ)、MBAの各要素を学び、各セッションや講義を通じて、最終的に経営への提言を行うというプログラムを実施しています。また、女性社員のリーダー育成については、さまざまな階層別研修を実施し、マネジメントへのステップアップに備えています。これらの研修受講後には、登用や配置転換などで、研修での学びをさまざまな環境で実践する機会を与えるなどの運営も併せて実施しています。
(4)公正な評価・処遇
三井住友信託銀行における人事評価制度は能力・役割・成果に応じた公平・公正な評価・処遇を基本においています。また、「本人参加型」で、日頃から上司と入念にコミュニケーションをとり具体性を持った課題の設定と振り返りを実施しますが、その際には、業務遂行課題だけでなく、本人の今後のキャリア開発についても策定・フィードバックを実施します。さらに、多面的に人物を捉える方法として、店部マネジメント層のライン長(店部長、次長、課長など)の日頃のマネジメント行動について部下などが匿名で回答する調査(サーベイ)を導入し、マネジメント行動の改革促進や双方向コミュニケーションの風土醸成を促進しています。
職場環境の整備 / 健康経営
働き方改革宣言
三井住友トラスト・グループは、「個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場の提供」を、トップコミットメントとして宣言し、以下のテーマについて、グループを挙げて取り組みます。
- 1.多様な働き方とワークライフバランスの実現
- 2.健康意識の発揚と適切な労働時間管理などを通じた健康増進の支援
- 3.全社員がやりがいを持って活躍し成長できる機会の提供
社員一人一人のいきいきとした働きを通じて、お客さまの利益に貢献し、社会に役立つ企業グループであり続けます。
(1)働き方の最適化
「多様な働き方とワークライフバランスの実現」に向けては、社員が安心して働き、仕事と家庭の両立ができる職場環境づくりにも積極的に取り組んでいます。三井住友信託銀行では、ライフイベントに左右されないキャリア継続を目指し、がん治療休暇の新設や不妊治療相談窓口の設置等を行いました。また、男性の育児休業の取得推奨をはじめとした出産・育児に関する各種制度の充実にも取り組んでおり、2022年度には産前・産後に男性社員が長期の育休を取得することが可能となるベビーケア休暇を新設し、1カ月の休暇取得を推奨する取り組みを開始しました。また、ワークライフバランスの土台である労働時間の適正化に向けて11時間の勤務間インターバルを全社員に導入し、労働時間を削減しリフレッシュや学びの時間などに充てることを推奨しています。
(2)健康経営
心身の健康は、Well-beingの土台であり、価値創造を行う上での原動力です。三井住友信託銀行では、Well-being推進担当役員を任命し、働きやすい安心・安全な職場環境を整えるとともに、社員一人一人の健康意識の発揚と健康増進を支援し、社員が健康に長く活き活きと働きパフォーマンスを発揮できる会社の実現を、健康保険組合、健康推進センター(社内診療所)、人事部の三位一体の体制で推進します。
健康経営の推進体制(三井住友信託銀行)
社員全員の心身両面での健康推進を目指した取り組みが評価され、当グループは6年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されました。全社員の健康リテラシー向上を目的に、経営層向けの勉強会、マネジメント向け研修、担当者向けセミナーやEラーニングなど、健康意識の発揚・啓発に努めています。三井住友信託銀行では、身体の健康のため、年1回の健康診断の受診に加え、全館禁煙化の実施、乳がん・子宮頸がん検査の対象年齢引き下げ等を実施しています。健康診断の結果、医療機関での対応が必要な社員が漏れなく受診するよう個別指導も行っており、直近の精密検査受診率は78%となっています。心の健康については、メンタルヘルス対策のセミナーを実施し、臨床心理士がカウンセリングを行うカウンセリングルームを設置しました。足元では、女性の健康支援に注力しています。これらの健康施策の効果検証を、ストレスチェックやプレゼンティーイズム・アブセンティーイズムの測定を通じて行い、施策の改善・浸透を図ります。
時期 | 健康推進イベント・施策(三井住友信託銀行単独イベント・施策含む) |
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2015年度 以前より |
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2016年度 |
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2017年度 |
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2018年度 |
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2019年度 |
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2020年度 |
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2021年度 |
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2022年度 |
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2023年度 |
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項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
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定期健康診断受診率 | 99.9% | 100.0% | 99.9% |
精密検査受診率 | 69.4% | 72.6% | 79.2% |
適正体重維持者率(BMIが18.5~25未満) | 68.4% | 68.4% | 67.4% |
運動習慣者比率 | 17.3% | 17.9% | 18.9% |
喫煙率 | 11.7% | 11.1% | 11.2% |
ストレスチェック受検率 | 93.7% | 93.6% | 92.3% |
総合健康リスク(全国平均100) | 94 | 94 | 90 |
高ストレス者割合 | 9.2% | 9.6% | 9.4% |
項目 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年度目標 |
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プレゼンティーイズム※1 | - | - | 79.4% | 78.9% | 90.0% |
アブセンティーイズム※2 | 1.7% | 1.8% | 2.0% | ‐ | ‐ |
うちメンタルヘルス不調 | 1.4% | 1.6% | 1.5% | ‐ | 1.3% |
エンゲージメント※3 | - | 60.4 | 62.4 | ‐ | 65.0 |
- 【※測定方法】
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※1東大1項目版 全社員平均値 (「病気やケガでないときに発揮できる業務パフォーマンスを100%として、直近1ヶ月のパフォーマンスは何%か?」への回答)
※2心身の不調により一か月以上の長期欠勤・休職した人数の割合
※3社員意識調査の「活性度」(仕事のやりがいやモチベーション等を問う10個の設問の平均値)
(3)やりがい・働きがいを育む風土
当グループでは、「全社員がやりがいを持って活躍し成長できる機会の提供」に向け、チャレンジと学びを後押しする風土構築と双方向コミュニケーションの活性化に取り組んでいます。三井住友信託銀行では、店部長自らが講師を務めて自身の経験や学びを伝達する店部長塾を開催している他、1on1コーチング研修の導入によりマネジメント層のコミュニケーションスキル向上に取り組み、心理的安全が担保された風通しの良い職場環境の構築に努めています。また、社員の声を経営層やマネジメント層に届ける仕組みとして、社員意識調査やパルスサーベイを導入しています。
人権
(1)人権マネジメント
基本的な考え方
当グループの人権マネジメントは2011年6月、国際連合人権理事会において採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて構築されています。当グループでは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」に加えて「人権方針」を制定し、全てのステークホルダーの人権を尊重します。
ビジネスと人権に関する指導原則に準拠した人権マネジメント体制
当グループでは、個人の人権、多様な価値観を尊重し不当な差別行為を排除して、全てのステークホルダーの基本的人権が尊重される企業風土・職場環境の醸成のため、PDCAサイクルで人権マネジメントの質的向上を図っています。なお、過去3年間において、当グループにおける人権侵害事例はありません。
コミットメント | 「人権方針」の制定 |
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人権デューデリジェンス※1の実施 | 1年に1度、海外を含む全店部・全グループ会社に、人権対応状況をチェックするための「人権デューデリジェンス自己チェック表※2」を配信 |
救済へのアクセス | 人事部「人事相談窓口」が担当 |
- ※1人権デューデリジェンスとは、当グループの活動および当グループと関係を有する他者の活動から生じる、人権への実際または潜在的な負の影響を特定するとともに、防止・軽減などの措置を講じて、その効果を継続的に検証・開示する一連の取り組みを指します。
- ※2人権デューデリジェンスが実施されているか、「人権方針」が遵守されているか、また、人権侵害が発生していないかなど、人権マネジメント体制関係各部の取組状況を確認するチェック表を指します。
人権デューデリジェンス連絡会
当社と三井住友信託銀行の合同組織として、経営企画部サステナビリティ推進部長を議長とした連絡会を設置しています。当連絡会は、海外を含む当グループ全社の人権対応状況を調査し、必要な課題・リスクの抽出、改善策の協議・対応をしています。当連絡会での協議に基づき、経営企画部にて取り組み体制の整備・強化に向けた目標・計画を策定し、また人事部統括役員を委員長とした人権啓発推進委員会に、グループ全社・全店部に向けた人権問題に関する各種研修や啓発活動を策定・実施しています。
人権啓発を目的とした研修は、2019年度は261部署で開催、階層別研修での講義も含めると合計403時間、延べ24,177人が受講しました。
(2)多様な人権を守るために
同和問題、在日外国人問題への取り組み
当グループは、同和問題への対応を、人権啓発推進にあたっての特に重要なテーマとして捉え、偏見や差別意識の徹底した排除に取り組んでいます。また、在日外国人問題に関しては、本人確認書類の取り扱いやプライバシーの尊重など、外国人の人権への配慮を周知しています。
セクシュアルハラスメントおよびパワーハラスメントの防止
セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントといった行為は、当グループでは厳禁としています。万一、ハラスメントが発生した場合の相談・苦情については、各部・営業店のハラスメント防止委員または人事部「人事相談窓口」(LGBTQ相談窓口)が申し入れ窓口となり、加害者に厳正な処分を行います。
「人事相談窓口」(LGBTQ相談窓口)は、人権に関する各種相談に応じるとともに、人権への負の影響が顕在化した場合には、関係各部と連携し速やかに必要な対策を講じます。2022年度人事相談窓口受付件数は93件、うち人権侵害の懸念のある事態はハラスメントを含め32件でした。うち15件は未解決につき、解決に向け関係各部署とも連携し対応中です。
LGBTQへの取り組み
LGBTQなどの性的マイノリティについては、採用や業務遂行上の差別は行わないことの徹底を図るとともに、「人事相談窓口」(LGBTQ相談窓口)がアライ(支援者)の立場で対応しています。
クラスター爆弾等に関わる投融資
当グループは、人道上の懸念が大きい武器と認識されているクラスター爆弾を製造する企業への融資は、国内外を問わず行いません。