基本的な取り組み方針

当グループの存在意義(パーパス)において、「託された未来をひらく~信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる~」と掲げ、コンプライアンスを、「法令・市場ルール・社内規程類等のルールはもとより広く社会規範を遵守し、経営理念(ミッション)に掲げるステークホルダー(お客さま、(地域)社会、株主、社員)の期待に応え信頼を確立すること」と捉え、全てのステークホルダーのWell being向上に貢献することを目指しています。

当社ではコンプライアンス態勢を実現するため、「行動規範(バリュー)」において、「法令等の厳格な遵守」を宣言し、取締役会が定める「コンプライアンス規程」等において役員・社員等が遵守しなければならない行動基準を定めています。

また、行動規範に関する具体的な手引書である「コンプライアンス・マニュアル」において、①業務に関わらず遵守すべき行動規範の解説、②違法行為を発見した場合の対処方法を明確化するとともに、各種業務に応じて個別に理解・留意が必要な事項について「コンプライアンス・ハンドブック」や「社内規程類」等において具体化することで、的確に行動規範を遵守し、コンプライアンスを実現しています。

さらに、三井住友トラストグループの「存在意義」(パーパス)、「経営理念」(ミッション)、「目指す姿」(ビジョン)、「行動規範」(バリュー)などに凝縮される大切な価値観を、当グループの社員が具体的な行動に移すための指針として、「私たちの行動指針」を制定し、当グループ社員が日常の業務の中で判断に迷った際、適切な行動をするために必要な考え方を記載しています。

役員・社員等の遵守基準
1.社会からの信頼の確立
当社の社会的責任と公共的使命を自覚し、高い自己規律に基づく健全な業務運営を通じて、社会からの信頼を確立していかなければならない。
2.質の高い金融商品・サービスの提供
信託銀行グループとしての全機能を発揮して、利用者に対し質の高い金融商品・サービスの提供に努めなければならない。
3.反社会的勢力への毅然とした対応
反社会的勢力に対して、毅然とした対応を行わなければならない。
4.組織的犯罪による金融機能の不正利用の防止
「マネー・ローンダリング等防止に関する法令等遵守方針」に則り、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に毅然とした態度で臨み、関連法令等を厳守し、当社等の金融サービスが不正に利用されないよう防止に取り組まなければならない。
5.経営の透明性の確保
当社の経営内容、企業情報の適正かつ公正な開示に努め、経営の透明性を確保しなければならない。
6.利害関係先等との健全かつ正常な関係の構築
「贈収賄・汚職防止に関する法令等遵守方針」に則り、不正を行ってまで利益追求を行わず、適用される収賄・汚職防止の関連法令等を厳守しなければならない。また、公務員・みなし公務員等あるいは株主・業務上の利害関係先等に対し、社会通念上の社交儀礼の範囲を超える接待や便宜等を供与してはならず、また、利害関係先その他の第三者からの接待や便宜供与を受けてはならない(法令・社内規程類等で許容される場合を除く)。
7.公正な活動の徹底
常に公私の区別を明らかにし、業務の運営にあたって、当社の利益と相反する立場に立たず、また職務上の地位を利用して、自己または第三者の利益を図ってはならない。
8.情報管理の徹底
業務上知り得た情報や当社の機密事項をほかに漏らしてはならない。
また、名義のいかんを問わず、未公表の重要情報や当社の業務上の機密事項等を、不正の利益を得る目的で、あるいは当社や他人に損害を加える目的等、不正な目的で利用してはならない。
9.受託者としての責務の認識
当グループが提供する信託について、受託者として委託者および受益者に負っている責務を認識し、受託者として、善良なる管理者の注意をもって、忠実に信託事務を遂行しなければならない。
10.損失補てんの禁止
当グループが提供する金融商品・サービスに起因して顧客等が損失を受けた場合において、合理的根拠なく、損失の補てんを行ってはならない。
11.職場秩序の向上
個々人の人格・個性を尊重し、いかなる場合においても差別行為を行わず、職場秩序を重視し、常にその維持・向上を図るよう努め、働きやすい環境を確保しなければならない。
12.フィデューシャリー・デューティーの実践
「三井住友トラストグループのフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」に則り、フィデューシャリー・デューティーの実践に努めなければならない。
三井住友トラストグループのコンプライアンス体制

グループのコンプライアンス態勢

当グループでは、毎年度、コンプライアンスに係る具体的な実践計画として「コンプライアンス・プログラム」を取締役会の承認を受け策定し、定期的に取締役会がその進捗状況の把握・評価を行っています。また、当社は、グループ各社の業務特性に応じた適切なコンプライアンス態勢を整備するため、各社のコンプライアンス・プログラムの策定、進捗・達成状況の指導・監督を行うなど、グループ全体のコンプライアンス態勢を管理しています。また、当グループのコンプライアンスについては、CCO(Chief Compliance Officer)である執行役が統括して定期的に取締役会へ報告しています。

取締役会、経営会議、コンプライアンス統括部統括役員等の役割
取締役会
  • 当グループにおけるコンプライアンス態勢の整備、実施状況の監督
  • コンプライアンスに係る方針・組織体制の整備
  • コンプライアンス・マニュアルの整備、コンプライアンス・プログラムの整備・進捗等の評価等
経営会議
  • 取締役会決議・報告事項の事前検討(コンプライアンスに関する事項の決定および統括部署の態勢整備に関する事項等)
  • 規程・規則の承認・周知に関する事項
  • コンプライアンス態勢の状況分析、問題点の検証等
取締役
執行役員
  • コンプライアンスの重要性および担当業務に関する法令等の留意すべき点に留意した、コンプライアンスを重視した経営の実施
コンプライアンス統括部
統括役員
  • 当グループのコンプライアンスの状況について、的確な認識に基づく、適正なコンプライアンス態勢の整備・確立に向けた方針および具体的な方策を検討
コンプライアンス統括部
  • 当グループにおけるコンプライアンス全般の統括
  • コンプライアンス態勢に必要な規程類の整備、施策・指導等の実施および課題等への対処ならびに研修体制の充実等
  • コンプライアンス・プログラムの企画立案・進捗等の管理、運営状況のモニタリングを通じた指導等
  • コンプライアンスに関する事項の取締役会・経営会議等への付議・報告

コンプライアンス意識の浸透への取り組み

当グループでは、取締役会の承認を受け遵守すべき法令・諸規則等に関する行動規範およびルールの背景・趣旨等に関する解説、違法行為を発見した場合の対処方法などを示した「コンプライアンス・マニュアル」を制定し、グループ全体に周知徹底しています。

また、当グループでは、コンプライアンス意識の浸透を促進するため、グループ全体でコンプライアンス研修を強化しています。具体的には、グループ全体にまたがるテーマについて、研修資料の提供・講師派遣、ディスカッション型勉強会の企画・運営を行うなど、グループ各社のコンプライアンスに関する統括部署が中心となって実施する研修等のサポートを行っています。

グループ各社においては、上記のほか、各社の業務・商品の特性やお客さまの属性に応じた研修・勉強会の実施、個別テーマに関するeラーニング研修の実施、日常の指導等を通じて、コンプライアンス意識の向上・徹底を図っています。また、当グループの社員が具体的な行動に移すための指針として定めた「私たちの行動指針」において、インテグリティ(誠実さ、高潔さ)をもった行動を求めています。

さらに、当グループでは、コンプライアンス意識の浸透状況を的確に把握するため、主要な子会社等について、コンプライアンスに関する意識調査を実施し、課題の把握と改善に取り組んでいます。当該意識調査では、グループ共通の課題の把握や実効的な施策を実施するため、統一的な質問項目を設定するなど、グループ全体の状況把握に取り組んでいます。

コンプライアンス違反発生時の対応

当グループでは、役員・社員等がコンプライアンス違反を発生した場合に適切な対応を行うため、行動規範の具体的な手引書である「コンプライアンス・マニュアル」において「違法行為を発見した場合の対処方法」を明確化し、上席者を通じたコンプライアンス統括部への報告を役員・社員等に義務付けています。違反部署からの報告を受けたコンプライアンス統括部は、発生部署とともに事態の調査、解決に向けた顧客対応、社内・当局宛報告、対外公表の必要性の有無など、解決に必要な対応の指導・助言、違反部署および事業統括部が行う再発(未然)防止策等の適切性の検証を行うとともに、事故の発生抑止・削減および事務品質等の向上を目的とした報告・管理態勢の整備を行います。

ホットライン制度

当グループでは、法令諸規則や社内規程類の重大な違反行為、その可能性が高い行為、またはその他不適切と考えられる行為が発生した場合に迅速かつ適切に対応するため、職制に基づく報告制度とは別に、全ての役員・社員等(アルバイト、派遣社員、退職者、取引事業者等の役職員等を含む)がコンプライアンス統括部や外部の弁護士事務所に直接通報できるコンプライアンス・ホットライン制度を設けています。

同制度では、通報者保護のため、情報管理や通報者のプライバシー保護を徹底し、制度を適正に利用した通報者や調査協力者に対する不利益な取り扱いは厳禁とするとともに、一層利用しやすいホットライン制度とすることを目的に、外部の弁護士事務所への電話による通報や、24時間匿名で通報可能なWEBシステムなどの簡易な通報手段の整備も行っています。加えて、グループ統一の運営を確保するため、当社は、子会社等に対し必要に応じて同制度に準じた制度を整備させるとともに、通報情報を当社に集約することで今後のコンプライアンス態勢の整備に役立てています。

また、適正な制度利用の促進のため、主要な子会社である三井住友信託銀行が中心となって、社員等に向けたQ&Aや研修ツールを策定・提供するとともに、主要な子会社等において実施されているコンプライアンス意識調査により、制度の認知度を確認しています。通報者保護の強化等を内容とする公益通報者保護法の改正に対し、子会社等への社内規程類ひな型の提供や弁護士を講師とする研修会の開催などを行いました。これまでの通報制度利用の活性化に向けた対応の結果、通報実績は増加しています。

上記の他、当グループでは、不適切な会計処理等の通報先として2017年度より会計ホットライン制度を設置しており、子会社等に対する周知のほか、通報窓口を当社ウェブサイトにおいて公表しています。また、三井住友信託銀行には人事運営上の不公平・不公正、ハラスメントや人権に関する各種相談に応じる人事相談窓口(LGBTQ相談窓口)なども設置しています。

三井住友トラスト 会計ホットライン

当社および三井住友信託銀行をはじめとするグループ会社における、会計、会計に係る内部統制、監査事項についての不正または不適切な処理に関する情報(ただし、いずれも日本国内の行為に関する情報に限る)についての通報窓口を以下の通り設置しています。通報は、郵便または電子メールで受け付けています。

通報窓口

郵便

〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目2番2号丸の内三井ビル

シティユーワ法律事務所内「三井住友トラスト会計ホットライン」宛

  • 対象となる通報内容は、当社および三井住友信託銀行をはじめとするグループ会社における、会計、会計に係る内部統制、監査事項についての不正または不適切な処理に関する情報です。
  • 匿名での通報も受け付けますが、可能な限り、お名前・ご連絡先を開示してください。
  • 通報内容が抽象的・不明確な場合等には、調査に限界が生じる場合がございますので、通報内容は、可能な限り具体的かつ詳細に記述願います。
  • 通報者に関する情報については、通報者ご本人の同意をいただいている場合や法令等に基づく場合を除き、当社グループ以外の第三者に開示しません。

金融犯罪等防止への取り組み

当グループでは、取締役会の承認を経て「マネー・ローンダリング等防止に関する法令等遵守方針」を公表し、マネー・ローンダリングなど※1に毅然とした態度で臨む意思を明確にしています。

例えば、三井住友信託銀行では、口座開設時(非対面でのお取引を含む)や送金受付時等の法令(犯罪による収益の移転防止に関する法律、外国為替および外国貿易法等)に基づく確認に加え、お客さまの職業・事業内容等やPEPs※2に該当するか、ご利用になる商品または取引、関連する国・地域等を確認したうえで、マネロン等のリスクに応じた追加的な確認や上級管理職による承認、リスクに応じたシステムによる不正な口座移動の検証を行っており、犯罪収益やテロ資金、拡散金融などへの関連が疑われる取引に遭遇した場合は、直ちに責任者に報告し、当局に届け出る態勢を整備するほか、マネー・ローンダリング等防止に関する社内研修や専門資格の取得支援等を行っています。

また、お客さまの財産を安全に管理する観点から、金融サービスの提供に際して必要な内部管理態勢を構築し、ATMやインターネットバンキングのセキュリティ対策等を十分に講じるとともに、お客さまが金融犯罪被害に遭われることのないよう、金融犯罪の手口や手法等の情報提供を行っています。

これらの取組については、年度毎に計画を策定し、リスクベースでのモニタリングおよびテスティング(内部監査を含む)を実施する他、必要に応じて外部専門家による評価等を受け、有効性の維持・向上に努めています。

  • ※1マネー・ローンダリング(資金洗浄)とは、麻薬密売などの犯罪で得た収益を金融機関の口座や金融商品間で転々とさせ、不正な資金の出所を隠すことを指します。また、テロ資金供与とは、爆弾テロやハイジャックといったテロ行為の実行を目的として、そのために必要な資金をテロリストに提供すること、拡散金融とは、大量破壊兵器(核・化学・生物兵器)等の開発、保有、輸出等に関与するとして資産凍結等措置の対象となっている者に、資金または金融サービスの提供をする行為をいいます。その他、振り込め詐欺犯人なども金融機関口座等の不正利用を行う場合があります。当社では、提供する金融サービス等がこれらの金融犯罪活動に利用されることを防止する取り組みを行っています。
  • ※2Politically Exposed Person(s)

贈収賄防止に向けた取り組み

当グループでは、法令諸規則または社会慣行および慣習に反する接待および贈答品の授受等が行われることを未然に防止するため、取締役会の承認を経て「贈収賄・汚職防止に関する法令等遵守方針」※1を公表し、経営陣による監督の下、贈収賄・汚職防止プログラムに取り組んでいます。当該プログラムは、定期的な贈収賄・汚職に係るリスク評価を通じ、見直し・強化を行っており、贈収賄・汚職リスクが特に高い海外拠点等で迅速かつ適切な対応がとれるよう現地弁護士事務所と海外拠点との緊密な連携を構築するなど、贈収賄・汚職防止に係る態勢の高度化に努めています。

政治活動に関する寄附については、政党、政治資金団体のみを対象にするなど、政治活動・政治資金に関する諸法令を遵守します。合わせて、政治活動に関する寄附金の支出にあたっては、必要な事前承認を得て適切に対応します。

また、当グループでは、贈収賄防止に関する取り組みの遵守を確実なものとするため、定期的なモニタリングを通じて履行状況を確認するとともに、毎年度、役員・社員等に対する研修を実施し、贈収賄・汚職防止に係る考え方・相手方との利害関係(許認可、補助金交付、契約等)が存在しないこと等必要な事前承認手続き、許容可能なガイドライン(当社の利害関係者に該当しない公務員に対して提供する場合等)等の周知を行っています。このうち、特に贈収賄リスクに直面する可能性の高い部署(経営管理分野、法人関連分野、投融資関連分野等)においては、追加的な専門研修および遵守に係る誓約書の提出を受けています。海外拠点においてはより実効的な研修として、拠点所在国の規制等を踏まえた研修の実施、現地弁護士を講師とした講義形式の研修等にも取り組んでいます。

なお、当グループにおいて贈収賄・汚職に関する問題事案等の発生はございません。

  • ※1当グループでは「贈収賄・汚職」を、相手方に不当な影響を及ぼす意図をもって行う接待、ならびに金銭および物品の贈答、その他の利益提供の申し込み、約束および提供する行為、提供者に不当な便宜等を図る意図をもって、財物等を受領し、または請求する行為と定義しています。
贈収賄・汚職防止プログラムにおける取り組み事例
接待・贈答などに対する事前承認制度
接待・贈答はもちろんのこと、経費負担、寄付・助成に至るまで贈収賄・汚職につながる可能性のある企業行動を対象とし、関係法令等によって許容される場合であっても事前承認を得る必要がある運営を実施
採用やトレーニーの受け入れの一元管理
採用・トレーニーの受け入れを通じて、不正な利益供与が行われることを防止するため、人事部による一元管理の仕組みを構築
一定の契約類型に関する締結前のデュー・デリジェンス義務化
役員・社員等への研修
コンサルタント等の第三者を通じた資金提供リスクに対応するため、一定の契約類型については契約締結前に、当該第三者に対するデュー・デリジェンスの実施を義務付け
モニタリング・テスティング(内部監査含む)
履行状況を個別に確認するため、定期的にモニタリングおよびテスティングを実施

反社会的勢力への対応

当グループでは、「行動規範(バリュー)」において、反社会的勢力に対する毅然とした対応を貫くことを宣言し、反社会的勢力との取引防止に取り組んでいます。具体的には、各種商品・サービス等において暴力団排除条項を導入しているほか、新規の個人向け融資などを対象に預金保険機構を介した警察庁データベースへの照会を実施するなどの取引防止態勢を構築しています。取引開始後に反社会的勢力であることが判明した場合は、警察などの外部専門機関と緊密に連携し、取引解消に向けた対応を行っています。

また、反社会的勢力との取引防止意識を強固なものとするため、役員・社員を対象とした反社会的勢力との取引防止研修を毎年度実施しています。

インサイダー取引防止に向けた取り組み

当グループでは、インサイダー取引等を防止するため、「インサイダー情報管理規程」において、業務遂行にあたり取得したインサイダー情報の報告義務、伝達・管理方法を定め、厳正に管理しており、各社の態様に応じたインサイダー防止に係る研修態勢を整備しています。例えば、主要な子会社である三井住友信託銀行では、全社員を対象とした研修を定期的に実施するとともに、全役員・社員等から、インサイダー取引未然防止に係る社内規程類の遵守を約する内容を含む誓約書の提出を定期的に受けています。

また、グループの成長事業と位置付ける資産運用ビジネスの強化を目的に三井住友信託銀行の資産運用機能を三井住友トラスト・アセットマネジメントに統合し、他のグループ各社との厳格な情報遮断体制を構築し、インサイダー情報が投資(運用)を行う部署に伝達されないよう特に厳格な管理・情報遮断を行っているほか、「証券会社等との接触等に関するガイドライン」を定め、運用担当者と証券会社営業担当者との不適切な接触を禁止しています。

税務コンプライアンスに関する基本方針

当グループは、適正な納税が重要な社会的責任であると認識しています。

当グループの役員および社員の税に対する意識を高め、お客さま、投資家、政府、地域社会など、さまざまなステークホルダー全体のバランスの中で、税について適正な管理を行い、企業活動を推進していくため、税務コンプライアンスに関する基本方針を経営会議決議により制定しています。

この方針に基づき各国の税法、通達・指針、租税条約やOECD移転価格ガイドライン、BEPS※1行動計画等を遵守し、適正な納税に努めるとともに、これらに反する租税回避行為等の防止を図っています※2

当グループは、租税回避や所得移転を幇助することだけを目的とした取引を行いません。税務の責任者である財務統括役員の指揮のもと、当社の税務チームおよび国内外の各拠点のマネジメントがこの基本方針に沿って連携を図りながら税務業務を遂行しています。また、各国の税法等を遵守し適正な納税に資するために専門家も活用し、税務リテラシーの向上に努めます。

また、重要度が高い案件については、取締役会にて決議・報告が行われます。

  • ※1BEPS: Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転)
  • ※2英国税務戦略
    2016年英国財政法附則第19条第19項および第22項の定めに従い、当グループの英国拠点に適用する税務戦略を掲載しています。

税務コンプライアンス基本方針

税法等の遵守

当グループは、各国の税法、通達ならびに租税条約等税に関するルールを遵守し、適正に納税していきます。

税に関するリスクへの対応

当グループは、税に関するリスクが経営上の重要な課題の一つと認識し、お客さま、投資家、政府、地域社会など、さまざまなステークホルダー全体のバランスの中で、税について適正な管理を行い、企業活動を推進していきます。

税務当局との関係

当グループは、情報開示等透明性を高めることで税務当局との信頼関係を築いていきます。

当グループは、グループ内の国をまたぐ取引が独立企業間原則を遵守した取引であることを文書化し、各国の税務当局に対し説明可能な体制を整備していきます。

2023年3月期 経常収益 2兆615億円 日本:73% 欧州:8% アジア:7% その他:12% 2023年3月期 法人税 507億円 日本:77% 欧州:9% アジア:9% その他:5% 経常収益及び法人税等は税務当局に提出している国別報告書に基づき掲載しています。

談合・カルテル防止

当グループでは、独占禁止法を遵守するため、コンプライアンス・マニュアルにおいて「独占禁止法に関する当社の行動指針」を制定しています。行動指針では、当グループの業務に照らして問題となり得る具体的事案を例示するなど役員・社員等が理解しやすい身近な内容とすることで周知徹底をしています。

さらにグループ各社においては、共同行為や優越的地位の濫用、虚偽・誇大な広告表示の禁止等につきチェックルールを設け、厳格に運営することで独占禁止法を遵守しています。

知的財産権の保護

当グループでは、コンプライアンス・マニュアルにおいて知的財産権を尊重する方針を掲げ、役員・社員等に対し他人の著作物等の無断複製・利用の禁止を徹底しています。また、当グループ各社における知的財産権についても、適切に用いるための社内ルールの整備も行っており、適切に知的財産権を保護しています。

コンダクトリスク管理の取り組み

当グループでは、グループ各社における役員・社員等の行動が、職業倫理に反していることやステークホルダーの期待と信頼に応えていないことにより、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会および職場環境に対し悪影響を与えるリスクをコンダクトリスクとして認識しています。

ステークホルダーの期待と信頼に応えるために、グループ各社にて、コンダクトリスクの特定・統制・評価・改善といったPDCAサイクルを構築し、問題行動(ミスコンダクト)を抑制するだけでなく、望ましい行動(グッドコンダクト)の促進にも努めています。

また、グループ各社の役員・社員等が「存在意義」(パーパス)、「経営理念」(ミッション)、「目指す姿」(ビジョン)、「行動規範」(バリュー)などに凝縮される大切な価値観を、当グループの社員が具体的な行動に移すための指針として、「私たちの行動指針」を策定しています。「私たちの行動指針」は、お客さまのための行動・私たち自身のための行動・社会のための行動・株主のための行動の4つの軸に基づく、25項目で構成しており、グループ各社の役員・社員等が、判断に迷った際に立ち戻るものと位置づけています。特に当グループの社員として、インテグリティ(誠実さ、高潔さ)をもった行動を求めています。各種研修やディスカッションにより、グループ全体への浸透を図るとともに、その浸透状況を確認する取り組みも行っています。

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