2020年12月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

住友ファーマ(2022年4月1日付で大日本住友製薬から社名変更)は、アンメット・メディカル・ニーズが高く、健康寿命への影響が大きい重点3領域(精神神経、がん、再生・細胞医薬分野)でグローバルリーダーとなるとともに、価値にフォーカスしたベストインクラスの医薬品開発や医薬事業とシナジーが期待できるフロンティア事業にも取り組んでおり、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指している(図表①)。

住友ファーマでは取締役会で定めた環境基本方針のもと、3ヶ年の中期環境計画及び年度実施計画を策定しており、環境安全委員会で取り組み内容を評価し、リスクと機会への適切な対応を図ることで、企業価値向上につなげている。2019年度には、持続可能な社会の実現に向けて、2030年度までの新たな環境目標を策定した。

住友ファーマは、CSR経営の重要課題であるマテリアリティを2018年7月に特定した。その後の社会変化、取り組みの進捗、ステークホルダーとの対話を通じて得た意見を踏まえ、2019年8月にマテリアリティを更新。課題解決が持続的成長にとって重要な「価値創造につながるマテリアリティ(11項目)」と、課題解決が持続的成長にとって不可欠である「事業継続の基盤となるマテリアリティ(9項目)」の2つに分類した(図表②)。更新内容は経営会議で審議のうえ決定しており、経営連絡会にて全取締役と共有されている。

本評価では、住友ファーマの事業活動全体に対する包括的分析が行われ、上記のサステナビリティに関する組織体制や活動を踏まえて、「革新的な医薬品と医療ソリューションの創出」、「グローバルヘルス・途上国に対する医療インフラ整備・医薬品アクセス向上への貢献」および「環境への取り組み」の3項目の取り組みテーマに関連するインパクトを特定し、それぞれに目標と指標(KPI)を設定した(図表③)。

図表①:ビジョンと2033年の目指す姿

図表②:マテリアリティ

図表③:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
革新的な医薬品と医療ソリューションの創出
アンメット・メディカル・ニーズの高い領域での継続的な医薬品の創出
  • 研究重点3領域(精神神経領域、がん領域、再生・細胞医薬分野)の革新的な医薬品の創出
  • 価値にフォーカスしたベストインクラスの医薬品の創出
3 すべての人に健康と福祉を
12 つくる責任 つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう
グローバルヘルス・途上国に対する医療インフラ整備・医薬品アクセス向上への貢献
  • グローバルヘルスへの貢献
  • 途上国に対する医療インフラ整備支援と医薬品アクセス向上への取り組み
  • マラリア、薬剤耐性(AMR)菌感染症の治療薬の創出
  • 健康・衛生・栄養に関する市民啓発の推進
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
12 つくる責任 つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう
環境への取り組み
  • 低炭素社会構築
  • 循環型社会構築
  • 生物多様性保全
  • 2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1+2)を2017年度対比で35%削減する
  • 廃棄物の再資源化率を80%以上に維持し、2030年度までに85%以上を目指す
  • 廃棄物の最終処分率を1%未満に維持し、2030年度までに0.5%未満を目指す
  • 2030年度までに水使用量を2018年度対比で12%削減する
6 安全な水とトイレを世界中に
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を

上記KPIのモニタリング状況

開示資料

目標と指標(KPI) 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績
1
革新的な医薬品と医療ソリューションの創出
目標

研究重点3領域(精神神経領域、がん領域、再生・細胞医薬品分野)の革新的な医薬品の創出

KPI

研究重点3領域の研究開発・プロジェクトの進捗状況・新薬の使用状況

  • 1

    精神神経領域

    • 上市品目数:1品目
      キンモビ(パーキンソン病に伴うオフ症状)/米国、を上市。
    • 開発中品目数:10品目
      1品目を上市、新たに1品目開発入り。
  • 2

    がん領域

    • 上市品目数:1品目
      オルゴビクス(進行性前立腺がん)/米国、を上市。
    • 開発中品目数:9品目
      1品目を上市、3品目開発中止・新たに2品目開発入り。
  • 3

    再生・細胞医薬品分野

    • 上市品目数:-
      1品目(リサイミック(小児先天性無胸腺症)/米国)について2021年10月にFDA審査終了を目標に進捗中。
    • プロジェクト数:6PJ

上記は何れも2021年7月29日時点。

  • 1

    精神神経領域

    • 上市品目数:-
    • 開発中品目数:12品目
      新たに2品目開発入り。
  • 2

    がん領域

    • 上市品目数:-
    • 開発中品目数:8品目
      1品目開発中止。
  • 3

    再生・細胞医薬品分野

    • 上市品目数:1品目
      リサイミック(小児先天性無胸腺症)/米国)、を上市。
    • プロジェクト数:5PJ

上記は何れも2022年7月29日時点。

  • 1

    精神神経領域

    • 上市品目数:-
    • 開発中品目数:12品目
      新たに2品目開発入り、2品目開発中止。
  • 2

    がん領域

    • 上市品目数:-
    • 開発中品目数:5品目
      3品目開発中止。
  • 3

    再生・細胞医薬品分野

    • 上市品目数:-
    • プロジェクト数:5PJ

上記は何れも2023年8月31日時点。

目標

価値にフォーカスしたベストインクラスの医薬品の創出

KPI

価値にフォーカスしたベストインクラスの医薬品開発の進捗状況・新薬の使用状況

  • 上市品目数:3品目
    オルゴビクス(前立腺がん)/米国、マイフェンブリー(子宮筋腫)/米国、ジェムテサ(過活動膀胱)/米国、の3品目を上市。
  • 開発中品目数:4品目
    3品目を上市、新たに1品目開発入り。

上記は何れも2021年7月29日時点。

  • 上市品目数:1品目
    ツイミーグ/日本を上市。
  • 開発中品目数:5品目
    1品目を上市、新たに2品目開発入り。

上記は何れも2022年7月29日時点。

  • 上市品目数:-
  • 開発中品目数:5品目
    新たに1品目開発入り、1品目開発中止。

上記は何れも2023年8月31日時点。

2
グローバルヘルス・途上国に対する医療インフラ整備・医薬品アクセス向上への貢献
目標

マラリア、薬剤耐性(AMR)菌感染症の治療薬の創出

KPI

感染症領域の研究開発・プロジェクトの進捗状況・新薬の使用状況

  • 上市品目数:-
  • プロジェクト数:5PJ(+1PJ)
    「新規マラリア感染阻止ワクチンの前臨床開発プロジェクト」を追加。

上記は何れも2021年7月29日時点。

  • 上市品目数:-
  • プロジェクト数:6PJ(+1PJ)
    「KSP-1007(β-ラクタマーゼ阻害薬)プロジェクト」を追加。

上記は何れも2022年7月29日時点。

  • 上市品目数:-
  • プロジェクト数:6PJ

上記は何れも2023年8月31日時点。

目標

健康・衛生・栄養に関する市民啓発の推進

KPI

安全な出産と乳幼児の正常な発育に向けた取り組み状況

(例:母子保健ボランティアの育成人数、妊婦・産後対象の家庭訪問件数、産後教育(調理実習、研修会)への参加人数)

  • カンボジア/コンポンチャム州における母子保健改善プログラムの提供。

    • 1

      妊婦・産後対象の家庭訪問件数:937軒(妊婦対象の家庭訪問:467軒、産後対象の家庭訪問470軒)

    • 2

      母子保健ボランティア育成:57名

    • 3

      NPOを通じて12の保健センターへマスクと消毒液を寄贈(COVID-19による産後教育活動の代替活動)

  • カンボジア/コンポンチャム州における母子保健改善プログラムの提供。

    • 1

      妊婦・産後対象の家庭訪問件数:1,061軒(妊婦対象の家庭訪問:591軒、産後対象の家庭訪問470軒)

    • 2

      母子保健ボランティア育成:62名

    • 3

      産後教育参加人数:調理実習691名

  • カンボジア/コンポンチャム州における母子保健改善プログラムの提供。

    • 1

      妊婦・産後対象の家庭訪問件数:1,350軒(妊婦対象の家庭訪問:863軒、産後対象の家庭訪問487軒)

    • 2

      母子保健ボランティア育成:66名

    • 3

      産後教育参加人数:調理実習1,003名

3
環境への取り組み
目標

2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1+2)を2017年度比で35%削減する

KPI

温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1+2)

  • GHG排出量:54,081t-CO2(2017年度比▲17.5%削減)
  • GHG排出量:53,116t-CO2(2017年度比▲29.9%削減)

同社はスコープ2について2020年度までは日本製薬団体連合会で使用していた固定値で電気事業者の排出量を計算しておりましたが、2021年度より算出方法を変更し、マーケット基準(電気事業者別の排出係数)で算出。過去実績について遡及算出した場合、基準年度2017年度の排出量は65,532t-CO2⇒75,792t-CO2となっております。

  • GHG排出量:40,226t-CO2(2017年度比▲46.9%削減)
目標

廃棄物の再資源化率を80%以上に維持し、2030年度までに85%以上を目指す

KPI

廃棄物の再資源化率

  • 廃棄物の再資源化率:79.8%
    主にメロペン原薬の製造量の減少により再資源化率の高い廃油の発生量が減少したことでわずかに未達
  • 廃棄物の再資源化率:76.3%
    生産計画の影響により、再資源化率の高い廃油の発生量が減少したため未達
  • 廃棄物の再資源化率:72%
    生産計画の影響により、再資源化率の高い廃油の発生量が減少したため未達
目標

廃棄物の最終処分率を1%未満に維持し、2030年度までに0.5%未満を目指す

KPI

廃棄物の最終処分率

  • 廃棄物の最終処分率:0.7%
  • 廃棄物の最終処分率:0.3%
  • 廃棄物の最終処分率:0.3%
目標

2030年度までに水使用量を2018年度対比で12%削減する

KPI

水使用量

  • 水使用量:821千トン(2018年度比▲3.1%)
  • 水使用量:814千トン(2018年度比▲3.9%)
  • 水使用量:804千トン(2018年度比▲5.1%)

プレスリリース

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