2022年3月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

株式会社小松製作所(コマツ)は、世界2位の建設・鉱山機械メーカーである。コマツは、「『品質と信頼性』を追求し、『企業価値』である、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和を最大化する。」を「経営の基本」としている。

コマツは、本業を通じたCSR活動を行うことを基本方針に(図表①)、同社の事業とステークホルダーの双方にとって重要な社会的課題を「CSR優先課題(マテリアリティ)」として特定し(図表②)、それをベースに「生活を豊かにする -社会が求める商品を提供する-」、「人を育てる」、「社会とともに発展する」の3つの「CSR重点分野」を策定している。コマツは、このCSR重点分野と上記の成長戦略との関連性を分析し、KPIを設定してESG課題の解決に向けた取り組みを進めている。また2021年には、グループのサステナビリティ経営推進に関する業務を統括する社長直轄の組織として、「サステナビリティ推進本部」を新設している。加えて、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティの方向性についてトップマネジメントが定期的に議論する機会を設けている。

本ファイナンスでは、三井住友信託銀行は、コマツの事業活動全体に対する包括的分析を行い、「①気候変動対応」、「②環境負荷削減・循環型社会の形成」、「③安全で生産性の高いスマートでクリーンな現場の実現」、「④グローバル人材の強化、人権の尊重」の4項目のインパクトを選定し、各インパクトに対して本ファイナンスのKPIを設定した(図表③)。

図表①:サステナビリティ基本方針

図表②:CSR優先課題(マテリアリティ)

商品・サービス・お客さま
  • 安全性向上商品
  • お客さまへの責任ある対応
環境
  • 環境対応商品
  • 環境対応(事業所・稼働現場)
  • リマニュファクチャリング(製品再生)
社員
  • 人材育成
  • 職場の安全性向上
  • 社員の尊重
人権
  • 基本的人権の尊重
  • 雇用の平等
倫理とガバナンス
  • ステークホルダーとの協力
  • コーポレートガバナンス・コンプライアンス
  • ビジネスパートナーを含めた社会のルールの遵守
地域社会
  • 地域社会の発展
  • 災害復興支援
  • 地域住民の生活向上

2011年マテリアリティとして位置付け

図表③:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
気候変動対応 環境負荷低減(CO2排出削減、再生可能エネルギー比率の向上)
  • (a)

    CO2排出量削減

    目標
    • 2050年カーボンニュートラル
    • 2030年までにCO2排出量を50%削減(基準年2010年、原単位)(生産によるCO2排出量及び製品使用時のCO2排出量)
    指標(KPI)
    • 生産によるCO2排出量
    • 製品使用時のCO2排出指数
  • (b)

    再生可能エネルギーの使用拡大

    目標

    2030年までに再生可能エネルギーの使用率を50%とする

    指標(KPI)

    再生可能エネルギーの使用率

7 安全な水とトイレを世界中に
13 気候変動に具体的な対策を
環境負荷削減・循環型社会の形成 生産における資源有効利用活動を通じて循環型社会形成に貢献
  • (a)

    水使用量削減

    目標

    2030年に水投入量原単位指数40とする(基準年:2010年)

    指標(KPI)

    水投入量原単位指数

  • (b)

    廃棄物削減

    目標

    2030年に廃棄物排出量原単位指数60とする(基準年:2010年)

    指標(KPI)

    廃棄物排出量原単位指数

6 安全な水とトイレを世界中に
12 つくる責任、つかう責任
安全で生産性の高いスマートでクリーンな現場の実現
  • 自動化などのイノベーションを通じたバリューチェーン全体での生産性向上・効率化、安全確保、環境負荷低減(CO2排出削減)
  • 技術と信頼性を持って、よりよい地球と未来を実現するダントツバリュー(顧客価値創造・最大化)の追求)
目標

自動化・自律化・電動化・遠隔操作化の推進

指標(KPI)

自動化・自律化・電動化・遠隔操作化の推進に向けた取り組み状況

8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
13 気候変動に具体的な対策を
15 陸の豊かさも守ろう
グローバル人材の強化、人権の尊重
  • 持続可能な現場の実現を支援するダイバーシティ・グローバル人材の強化と育成
  • コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの徹底、人権の尊重などの責任ある企業行動
  • (a)

    グローバル人事施策の推進

    目標

    グローバル人事施策の高度化

    指標(KPI)

    グローバル人事施策の推進状況

  • (b)

    人権デューディリジェンスプロセスの継続的な実施による事業における人権問題の洗い出し及び各課題に対する運用計画の明確化

    目標

    人権デューディリジェンスプロセスの推進

    指標(KPI)

    人権デューディリジェンスプロセスの実施状況

4 質の高い教育をみんなに
8 働きがいも経済成長も

上記KPIのモニタリング状況

開示資料

テーマ 目標と指標(KPI) 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績
1 気候変動対応
  • (a)

    CO2排出量削減

目標
  • 2050年カーボンニュートラル
  • 2030年までにCO2排出量を50%削減(基準年2010年、原単位)(生産によるCO2排出量及び製品使用時のCO2排出量)
  • 生産によるCO2排出量
    ▲37%(対2010年度比)
  • 製品使用時のCO2排出指数
    ▲19%(対2010年度比)
  • 生産によるCO2排出量▲43%(対2010年度比)
  • 製品使用時のCO2排出指数▲21%(対2010年度比)
 
指標(KPI)
  • 生産によるCO2排出量
  • 製品使用時のCO2排出指数
  • (b)

    再生可能エネルギーの使用拡大

目標

2030年までに再生可能エネルギーの使用率を50%とする

14%

17%

 
指標(KPI)

再生可能エネルギーの使用率

2 環境負荷削減・循環型社会の形成
  • (a)

    水使用量削減

目標

2030年に水投入量原単位指数40とする(基準年:2010年)

水投入原単位指数36

水投入原単位指数31

 
指標(KPI)

水投入量原単位指数

  • (b)

    廃棄物削減

目標

2030年に廃棄物排出量原単位指数60とする(基準年:2010年)

廃棄物排出量原単位指数61

廃棄物排出量原単位指数62

 
指標(KPI)

廃棄物排出量原単位指数

3 安全で生産性の高いスマートでクリーンな現場の実現
目標

自動化・自律化・電動化・遠隔操作化の推進

  • 1
    建設機械:油圧ショベル/レベル4の自動積み込みテスト導入に向けて準備中
  • 2
    鉱山機器:鉱山ブルドーザー/レベル3のPoC準備、レベル4先行研究検討着手
  • 3
    フォークリフト:レベル2以上の技術確立(運転支援機能)について、機能確認完了
  • 4
    ICT建機の導入拡大(米・欧・豪):2,019台
  • 5
    スマートコンストラクションの導入拡大:5,902現場
  • 1
    建設機械:油圧ショベル/顧客と共同研究車両でのテスト実施EARTHBRAINと共同で、建設機械向けの遠隔操作システムを開発し、2023年3月より顧客への提供を開始
  • 2
    鉱山機械:鉱山ブルドーザー/顧客現場での遠隔操作トライアル完了、自動運転トライアル実施。英資源大手Anglo American社が保有するチリの銅鉱山向けに無人ダンプトラック運行システムの導入を開始)。坑内掘り鉱山向けのソリューションとして、鉱山向けの通信デバイスと坑内測位による最適化プラットフォームのプロバイダーであるMine Site Technologies Pty Ltd社を買収
  • 3
    フォークリフト:―
  • 4
    ICT建機の導入拡大(米・欧・豪):2,448台
  • 5
    スマートコンストラクションの拡大:8,955現場
 
指標(KPI)

自動化・自律化・電動化・遠隔操作化の推進に向けた取り組み状況

4 グローバル人材の強化、人権の尊重
  • (a)

    グローバル人事施策の推進

目標

グローバル人事施策の高度化

  • グローバル人事情報システムを導入
  • グローバルでのデータ自動連携構築を推進
  • グローバルキーポジション(GKP)の設定
  • サクセッションプランの策定
 
指標(KPI)

グローバル人事施策の推進状況

  • (b)

    人権デューディリジェンスプロセスの継続的な実施による事業における人権問題の洗い出し及び各課題に対する運用計画の明確化

目標

人権デューディリジェンスプロセスの推進

人権課題の優先順位を整理し、サプライヤー及びコマツグループ社内を対象とした書面調査と、ダウンストリームビジネスにおける実地調査(インパクトアセスメント)の実施を決定。

  • 社内:全グループ会社でウェブ調査を実施
  • 調達:主要サプライヤーを対象にウェブ調査を実施
  • 販売先:南アフリカでインパクトアセスメントを実施(実地調査)
 
指標(KPI)

人権デューディリジェンスプロセスの実施状況

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