2022年7月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

リコーは、複合機や商用印刷機等を製造する国内トップクラスのOA機器メーカーであり、近年はオフィス関連のITサービスに注力している。

同社は、創業の精神である「三愛精神」(人を愛し、国を愛し、勤めを愛す)に基づき、環境保全と事業成長を同時実現する環境経営に早くから取り組んできた。また、目指すべき持続可能な社会の姿として、経済(Prosperity)・社会(People)・地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれた社会「Three Ps Balance」を掲げている(図表①)。2018年には、環境・社会・ガバナンス分野の中長期課題を経営レベルで継続的に議論するため、CEOを委員長とするESG委員会を設置し(図表②)、同委員会の下でサステナビリティ活動を推進している。

同社は、「Three Ps Balance」の実現に向けてマテリアリティ(重要社会課題)を特定し、定期的に見直しを行っている。2020年には、「事業を通じた社会課題解決」とそれを支える「経営基盤の強化」の2つの領域で7つのマテリアリティを特定するとともに、各マテリアリティに紐づく17のESG目標を設定し(図表③)、同目標の達成度合いと執行役員の評価・報酬を連動させている。

本ファイナンスでは、同社の事業活動全体に対する包括的分析が行われた。同社のサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「1.脱炭素社会への貢献」「2.循環型社会への貢献」「3.医療・教育・地域サービスの質の向上」「4.グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化」「5.多様性の尊重、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現」の5項目のインパクトが選定された。これらのインパクトは、いずれも同社のマテリアリティに係るものであり、各インパクトに対してKPIが設定された(図表④)。

図表①:リコーグループの目指すべき持続可能な社会の姿「Three Ps Balance」

図表②:サステビリティ推進体制

図表③:マテリアリティへの取り組み

図表④:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
脱炭素社会への貢献
SBT1.5℃認定目標を掲げ、自社排出のGHG大幅削減を進めるとともに、社会全体の脱炭素に貢献する商品・ソリューションを提供していく
  • (a)

    徹底的な省エネ・CO2削減活動の展開

    目標
    • GHG排出量(スコープ1・2)を2022年度までに30%、2030年までに63%削減(2015年度比)
    • GHG排出量(スコープ3の調達・使用・物流カテゴリー)を2022年度までに20%、2030年までに40%削減(2015年度比)
    • 2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラル
    指標(KPI)

    GHG排出量(スコープ1・2・3)

  • (b)

    再生可能エネルギーの積極的な利活用

    目標

    事業に必要な電力を2022年度までに30%、2030年までに50%、2050年までに100%再生可能エネルギーに切り替える

    指標(KPI)

    再生可能エネルギー比率

7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
13 気候変動に具体的な対策を
循環型社会への貢献
3R・プラスチックの削減/代替を強化し、プリント・オンデマンドの提供により、顧客の資源の効率利用に貢献する
目標
  • 製品の新規資源使用率を2022年度までに85%以下、2030年までに60%以下、2050年に12%以下とする
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量を2030年までに従来比50%以上削減
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率を2030年までに50%以上とする
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化を2025年までにすべて完了
指標(KPI)
  • 製品の新規資源使用率
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化の進捗状況
12 つくる責任 つかう責任
医療・教育・地域サービスの質の向上
オフィスソリューションで培ったデジタル技術・ノウハウを活かし、医療・教育・地域サービスの質の向上を支援
目標

2022年度までに1,000万人、2030年度までに3,000万人の生活基盤の向上に貢献する

指標(KPI)

生活基盤向上貢献人数

3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
11 住み続けられるまちづくりを
グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化
ビジネスパートナーとの協働を強化し、自社・ビジネスパートナー・社会とWin-Win-Winな関係を構築
目標
  • 2022年度までに主要6拠点全てでRBA認証取得
  • 2022年度までに重要サプライヤー全てから行動規範署名完了
指標(KPI)
  • 生産拠点のRBA認証取得状況
  • サプライヤーの行動規範署名状況
8 働きがいも経済成長も
ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現、多様性の尊重
経営方針である「自律型社員の活躍」に沿い、社員の多様性を尊重しイキイキと働ける環境を整備
目標
  • 女性役員比率を2030年までに18%以上
  • 女性管理職比率を2022年度までに国内7.0%以上、グローバルで16.5%以上
  • RFGエンゲージメントスコアを2022年度までに各地域50パーセンタイル以上
指標(KPI)
  • 女性役員比率
  • 女性管理職比率
  • RFGエンゲージメントスコア
5 ジェンダー平等を実現しよう
8 働きがいも経済成長も
10 人や国の不平等をなくそう

上記KPIのモニタリング状況

目標と指標(KPI) 2023年6月付「ポジティブ・インパクト評価」再実施(※)に伴う見直し
(変更箇所に下線を引いております)
1 脱炭素社会への貢献
  • (a)

    徹底的な省エネ・CO2削減活動の展開

    目標
    • GHG排出量(スコープ1・2)を2022年度までに30%、2030年までに63%削減(2015年度比)
    • GHG排出量(スコープ3の調達・使用・物流カテゴリー)を2022年度までに20%、2030年までに40%削減(2015年度比)
    • 2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラル
    指標(KPI)

    GHG排出量(スコープ1・2・3)

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新。

目標
  • GHG排出量(スコープ1・2)を2025年度までに50%、2030年までに63%削減(2015年度比)
  • GHG排出量(スコープ3の調達・輸送・使用カテゴリー)を2025年度までに35%、2030年までに40%削減(2015年度比)
  • 2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラル
指標(KPI)
  • GHG排出量(スコープ1・2・3)
  • (b)

    再生可能エネルギーの積極的な利活用

    目標

    事業に必要な電力を2022年度までに30%、2030年までに50%、2050年までに100%再生可能エネルギーに切り替える

    指標(KPI)

    再生可能エネルギー比率

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新。

目標

事業に必要な電力を2025年度までに40%、2030年までに50%、2050年までに100%再生可能エネルギーに切り替える

指標(KPI)

再生可能エネルギー比率

2 循環型社会への貢献
目標
  • 製品の新規資源使用率を2022年度までに85%以下、2030年までに60%以下、2050年に12%以下とする
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量を2030年までに従来比50%以上削減
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率を2030年までに50%以上とする
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化を2025年までにすべて完了
指標(KPI)
  • 製品の新規資源使用率
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化の進捗状況

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新。

目標
  • 製品の新規資源使用率を2025年度までに80%以下、2030年までに60%以下、2050年に12%以下とする
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量を2030年までに2020年比50%以上削減
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率を2030年までに50%以上とする
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化を2025年までにすべて完了
指標(KPI)
  • 製品の新規資源使用率(総投入資源量に対する新規資源使用量の割合)
  • 製品包装における「化石由来バージンプラスチック」使用量
  • 画像製品におけるプラスチック回収材使用率
  • プラスチック部品・包装材の材質表示と単一素材化の進捗状況
3 医療・教育・地域サービスの質の向上
目標

2022年度までに1,000万人、2030年度までに3,000万人の生活基盤の向上に貢献する

指標(KPI)

生活基盤向上貢献人数

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新。

目標

2025年度までに1,500~2,000万人、2030年度までに3,000万人の生活基盤の向上に貢献する

指標(KPI)

生活基盤向上貢献人数

4 グローバルサプライチェーン全体のサステナビリティの強化
目標
  • 2022年度までに主要6拠点全てでRBA認証取得
  • 2022年度までに重要サプライヤー全てから行動規範署名完了
指標(KPI)
  • 生産拠点のRBA認証取得状況
  • サプライヤーの行動規範署名状況

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新(当初目標は概ね達成したことに伴い更新)。

目標
  • 2025年度までにCHRBスコアにおいてICTセクタートップの水準を目指す
指標(KPI)
  • CHRBスコア

CHRB:Corporate Human Rights Benchmark 機関投資家とNGOが設立した人権関連の国際イニシアチブ。5セクター(農産物、アパレル、採掘、ICT、自動車)のグローバル企業から約250社を選定して評価

5 ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現、多様性の尊重
目標
  • 女性役員比率を2030年までに18%以上
  • 女性管理職比率を2022年度までに国内7.0%以上、グローバルで16.5%以上
  • RFGエンゲージメントスコアを2022年度までに各地域50パーセンタイル以上
指標(KPI)
  • 女性役員比率
  • 女性管理職比率
  • RFGエンゲージメントスコア

本テーマの目標・KPIを以下のとおり更新。

目標
  • 女性役員比率を2030年までに18%以上
  • 女性管理職比率を2025年度までに国内10.0%以上、グローバルで20.0%以上
  • 社員エンゲージメントスコアを2025年度までに3.91以上(⽇本:3.69、北⽶:4.18、中南⽶:4.14、欧州:4.01、APAC:4.15)
指標(KPI)
  • 女性役員比率
  • 女性管理職比率
  • 社員エンゲージメントスコア

RFGエンゲージメントスコアと社員エンゲージメントスコアは同一指標。自社の改善効果を評価するため、他社との相対比較であるパーセンタイル値目標を絶対値目標に変更し、新たに目標水準を設定。

(※)株式会社リコー向け最新のポジティブ・インパクト評価については、以下をご確認ください。

ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(株式会社リコー)(2023年6月)

ポジティブ・インパクト評価の再実施に伴い、本件PIFのモニタリング実績は、上記ページに集約して開示してまいります。

プレスリリース

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