2022年8月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

サッポロホールディングス(以下「サッポロHD」)は、酒類事業、食品飲料事業、不動産事業を展開するサッポログループの持株会社である。創業150周年を迎える2026年度に向けて、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」を策定し、その中で「2026グループビジョン」として、「サッポログループは世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニーを目指します」を掲げている。そして、「SPEED150」に基づく「グループ経営計画2024」では、「サステナビリティ経営の推進」を基本方針の1つとしている。社会課題に対する事業を通じた取り組みを「サステナビリティ経営」として推進するため、「サッポログループサステナビリティ方針」を策定し、その下で取り組みの軸となる「サステナビリティ重点課題」を特定のうえ「4つの約束」に整理し(図表①)、課題解決に向けた2030年までの中長期目標を設定している(図表②)。

サステナビリティ経営推進のための全体方針を策定し、グループ内の統括・連携を行うための機関として、代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置している(図表③)。

本PI評価では、サッポロHDの事業活動全体に対する包括的分析が行われた。同社のサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域につき特定のうえ「①『酒・食・飲』による潤いの提供」、「②社会との共栄」、「③環境保全」の3項目のインパクトが選定された。そして、各インパクトに対してKPIが設定された(図表④)。

図表①:サステナビリティ重点課題と4つの約束

図表②:サッポログループサステナビリティ重点課題中長期目標

図表③:サッポログループのサステナビリティ推進体制

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
『酒・食・飲』による潤いの提供
「酒・食・飲」を通じて、新しい価値を創造し、お客様に喜びと潤いを届ける。
  • (a)

    安全・安心な品質の提供

    目標

    2030年に品質トラブルゼロを目指す

    指標(KPI)

    品質トラブルを起こさないための取り組み状況

  • (b)

    新価値創造

    目標

    新たな顧客価値を提供する

    指標(KPI)

    新価値を創造する研究や製品開発の状況

2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
17 パートナーシップで目標を達成しよう
社会との共栄
地域社会の一員として地域の発展や課題解決に貢献し、地域の皆様やサプライヤーの皆様とともにより良い未来を創造する。
  • (a)

    地域への貢献

    目標

    行政やパートナーと連携した「まちづくり」による地域の魅力向上

    指標(KPI)

    まちづくりにおける行政等との連携による地域への貢献状況

  • (b)

    持続可能な調達の推進

    目標

    2030年までに全ての主要調達先がサステナビリティ調達ガイドラインを満たす(サッポロビール、ポッカサッポロ)

    指標(KPI)

    サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合

6 安全な水とトイレを世界中に
8 働きがいも経済成長も
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
17 パートナーシップで目標を達成しよう
環境保全
自然の恵みを未来に受け継ぐため、事業の各段階において環境保全に取り組み、従業員一人ひとりが主体的に環境活動を推進する。
  • (a)

    CO2排出量の削減

    目標

    2050年に自社拠点でのCO2排出量ゼロ

    指標(KPI)

    CO2削減量

  • (b)

    3Rの推進

    ①水使用総量の削減

    目標

    生産工場における水使用総量を2030年までに2013年比で10%削減する(サッポロビール、ポッカサッポロ)

    指標(KPI)

    サッポロビール、ポッカサッポロ生産拠点水使用量

    ②循環型社会に対応した容器包装の使用拡大

    目標

    2050年に循環型社会に対応した容器の100%使用

    指標(KPI)

    循環型社会への対応容器浸透状況(リデュース、素材代替の実績)

    ③廃棄物再資源化率の向上

    目標

    廃棄物再資源化率の向上に努め、2030年までに主要工場(※)では100%を実現する((※)サッポロビール、ポッカサッポロ)

    指標(KPI)

    廃棄物再資源化率(サッポロビール、ポッカサッポロ)

    ④プラスチック使用量の削減

    目標
    • 2030年までに化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類を国内で原則廃止する(サッポロビール)
    • 2030年までに国内製造ワインのペットボトルへのリサイクル原料の使用割合を50%とする(サッポロビール)
    • 2030年までに販売するPETボトル商品においてリサイクル原料の使用割合を50%とする(ポッカサッポロ)
    指標(KPI)
    • 国内における化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類の使用量(サッポロビール)
    • 国内製造ワインのペットボトルへのリサイクル原料の使用割合(サッポロビール)
    • 販売するPETボトル商品におけるリサイクル原料の使用割合(ポッカサッポロ)
  • (c)

    気候変動に耐える品種開発

    目標

    様々な地域で良質なビール原料の安定的な生産の実現

    指標(KPI)

    気候変動に耐える品種開発の進捗状況

2 飢餓をゼロに
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
17 パートナーシップで目標を達成しよう

上記KPIのモニタリング状況

テーマ 目標と指標(KPI) 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績
1 『酒・食・飲』による潤いの提供
  • (a)

    安全・安心な品質の提供

目標

2030年に品質トラブルゼロを目指す

FSSC22000やHACCPによる予防型品質保証体制の効果的な構築、維持、運用に努めており、リモート監査やAIによる表示チェックなどのシステム運用を拡大するなどして、品質保証活動における生産性向上に努めている。

2022年11月に新たな目標、KPIを公表しており、今後更新する予定。

     
指標(KPI)

品質トラブルを起こさないための取り組み状況

  • (b)

    新価値創造

目標

新たな顧客価値を提供する

  • サッポロビールが「ニッポンのシン・レモンサワー」をポッカサッポロと協働して開発。両社がもつお酒づくりの知見とレモンのプロならではの知見を最大限に活かした製品となっている。
  • サッポロビールにてノンアルコールRTD(Ready to Drink:栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)「サッポロ LEMON'S FREE」を発売。

2022年11月に新たな目標、KPIを公表しており、今後更新する予定。

     
指標(KPI)

新価値を創造する研究や製品開発の状況

2 社会との共栄
  • (a)

    地域への貢献

目標

行政やパートナーと連携した「まちづくり」による地域の魅力向上

  • エリアブランド価値向上に資する持続可能なまちづくりの進捗(サッポロ不動産開発):恵比寿ガーデンプレイスのセンタープラザがグランドオープン、サッポロファクトリー第4駐車場の再開発事業に着手。
  • 地域創生事業の推進(サッポロビール):2022年度は5案件を受注、42/246商談の成約、飲食フェア実施店62店を達成。商談会における自治体、サプライヤー、バイヤー満足度は93.4%。
  • 日本のレモン生産の環境構築(ポッカサッポロ):広島にて国産レモンの自社栽培耕地を運営中。
  • 食品飲料事業に関する地域における学習プログラム(ポッカサッポロ、サッポログループ食品):「レモン教室」など131件の学習プログラムを提供。

2022年11月に新たな目標、KPIを公表しており、今後更新する予定。

     
指標(KPI)

まちづくりにおける行政等との連携による地域への貢献状況

  • (b)

    持続可能な調達の推進

目標

2030年までに全ての主要調達先がサステナビリティ調達ガイドラインを満たす(サッポロビール、ポッカサッポロ)

サステナビリティ調達ガイドライン遵守率:92%

     
指標(KPI)

サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合

3 環境保全
  • (a)

    CO2排出量の削減

目標

2050年に自社拠点でのCO2排出量ゼロ

CO2排出量(スコープ1・2)排出量:189千t-CO2(前年度比+5千t-CO2%)

2022年11月に新たな目標、KPIを公表しており、今後更新する予定。

     
指標(KPI)

CO2削減量

  • (b)

    3Rの推進

    ①水使用総量の削減

目標

生産工場における水使用総量を2030年までに2013年比で10%削減する(サッポロビール、ポッカサッポロ)

生産工場における水使用総量削減率:▲16.6%(2013年度比)

     
指標(KPI)

サッポロビール、ポッカサッポロ生産拠点水使用量

  • (b)

    3Rの推進

    ②循環型社会に対応した容器包装の使用拡大

目標

2050年に循環型社会に対応した容器の100%使用

  • アルミ缶の軽量化の継続的な実施。
  • 焼酎製品で使用している4Lペットボトルの材料使用量:約▲16t/年(CO2排出量換算約▲61t/年の削減。従来比約▲20%削減)。
  • 段ボールケースの蓋にあたる部分を短くする「ショートフラップ化」を推進しており、使用する紙の面積と重量を従来よりも2.8%削減した。350ml6缶パック用段ボールで紙1枚あたりのCO2排出量を2.4%削減でき、年間で約149トンのCO2削減効果を見込む。
     
指標(KPI)

循環型社会への対応容器浸透状況(リデュース、素材代替の実績)

  • (b)

    3Rの推進

    ③廃棄物再資源化率の向上

目標

廃棄物再資源化率の向上に努め、2030年までに主要工場(※)では100%を実現する((※)サッポロビール、ポッカサッポロ)

廃棄物再資源化率:100%

     
指標(KPI)

廃棄物再資源化率(サッポロビール、ポッカサッポロ)

  • (b)

    3Rの推進

    ④プラスチック使用量の削減

目標
  • 2030年までに化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類を国内で原則廃止する(サッポロビール)
  • 2030年までに国内製造ワインのペットボトルへのリサイクル原料の使用割合を50%とする(サッポロビール)
  • 2030年までに販売するPETボトル商品においてリサイクル原料の使用割合を50%とする(ポッカサッポロ)
  • 国内における化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類の使用量:83.7トン(前年度212.3トン。前年度比▲60.5%)
  • 国内製造ワインに使用するPETボトル再生材利用率:48.2%
  • 国内で販売するPETボトル商品におけるリサイクル原料の使用割合:4.0%
     
指標(KPI)
  • 国内における化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類の使用量(サッポロビール)
  • 国内製造ワインのペットボトルへのリサイクル原料の使用割合(サッポロビール)
  • 販売するPETボトル商品におけるリサイクル原料の使用割合(ポッカサッポロ)
  • (c)

    気候変動に耐える品種開発

目標

様々な地域で良質なビール原料の安定的な生産の実現

  • 大麦: ⾚かび病抵抗性、穂発芽耐性、その他環境適応性の⾼い⺟本選抜等、進捗中。穂発芽耐性の付与と発芽期間の短縮を実現する新たな⼤⻨(N68-411)について国際学会(ASBC)において発表。
  • ホップ: 根系簡易評価法確⽴のための試験継続。うどんこ病抵抗性の評価を開始。
     
指標(KPI)

気候変動に耐える品種開発の進捗状況

プレスリリース

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