2022年10月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

住友重機械工業は、量産機械系事業を主力に、産業機械、造船をはじめ、環境・プラントなどの多岐に渡る事業を展開する総合重機メーカーである。コア製品は変減速機やプラスチック射出成形機であり、これらの製品ではそれぞれ高い市場シェアを有し、国内外で一定の収益基盤を有する。

住友重機械グループは、2021年度から2023年度までを対象とする「中期経営計画2023」において、社会課題解決を通じた企業価値拡大は短期的に実現可能なものではなく長期的思考が必要であるという考えの下、「製品・サービスによる社会課題解決を通じて持続的に企業価値を拡大する」ことを長期目標に掲げた。この長期目標を達成すべく、2021年度から2023年度までは「社会課題解決のための基礎固め」と位置付けている。中期経営計画の策定にあたっては、「企業価値と社会価値の両立を長期の目標として持続的に成長し利益を出し続け、社会価値創造に貢献できる企業」を住友重機械グループのあるべき姿として定め、バックキャスティングの手法を用いて、社会価値創造のために解決すべき課題を設定した(図表①)。

環境に関する重要課題として「環境負荷の低減」を、社会に関する重要課題として「よりよい暮らし・働き方の実現」、「従業員の安全・健康・育成」、「地域との共存・共栄」を、そしてガバナンスに関する重要課題として「ガバナンスの強化」、「製品品質の確保」、「情報開示の充実」を掲げた(図表②)。これらのサステナビリティ課題を審議・モニタリングし、グループ全体のサステナビリティ戦略を実行・牽引することを目的に、2021年3月に「サステナビリティ委員会」を設置した。また、サステナビリティ課題への取り組みを推進するため、2021年4月、従来のCSR推進室を企画本部サステナビリティ推進部として組織改編し、気候変動対応を含むサステナビリティ戦略の立案機能やESG情報の開示機能を強化している(図表③)。

本PI評価では、住友重機械工業の事業活動全体に対する包括的分析が行われた。同社のサステナビリティ活動も踏まえ、インパクト領域を特定のうえ「①CO2排出量削減への貢献」、「②廃棄物・資源再生における取り組み」、「③労働生産性の向上・労働環境の改善」、「④人材マネジメント」、「⑤CSR調達の推進」の5項目のインパクトが選定された。そして、各インパクトに対してKPIが設定された(図表④)。

図表①:中期経営計画2023の位置づけ及び基本方針

図表②:住友重機械グループが解決を目指す社会課題

図表③サステナビリティ推進体制

図表④:ポジティブ・インパクト・ファインスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
CO2排出量削減への貢献

製品の製造・使用時におけるCO2排出量削減の推進

  • (a)

    事業活動におけるCO2排出量削減

    目標
    • 2050年までにグループ全体でのカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を目指す
    • 製品の製造時のCO2排出量(Scope1、2)を2030年までに50%削減(2019年度比)
    指標(KPI)

    事業活動によるCO2排出量(Scope1、2)

  • (b)

    製品使用時におけるCO2排出量削減

    目標

    製品使用時のCO2排出量(Scope3カテゴリ11)を2030年までに30%削減(2019年度比)

    指標(KPI)

    製品使用時のCO2排出量(Scope3カテゴリ11)

7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
廃棄物・資源再生における取り組み

資源の有効活用を通じて循環型社会に貢献

  • (a)

    事業活動での廃棄物ゼロ

    目標

    事業活動での廃棄物ゼロを目指す

    指標(KPI)

    廃棄物排出量(最終処分量)(t)

  • (b)

    資源再生による廃棄物削減に貢献する製品の研究開発強化

    目標

    資源再生に資する取組の推進

    指標(KPI)

    資源再生に資する製品・技術等の開発状況

3 すべての人に健康と福祉を
6 安全な水とトイレを世界中に
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
労働生産性の向上・労働環境の改善

製品の自動化・省人化による労働生産性の向上・労働環境の改善と、インフラ高度化への貢献により、世の中の人々のよりよい暮らし・働き方を実現する

  • 「製品の自動化・省人化」を通じたインフラ高度化に関する研究開発の強化

    目標

    製品の自動化・省人化を通じたインフラ高度化による、お客様の労働生産性向上・労働環境の改善

    指標(KPI)

    「製品の自動化・省人化」を通じたインフラ高度化に資する研究開発の状況

8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
人材マネジメント
  • (a)

    従業員一人ひとりの個性や属性の違いを尊重し、個々の能力を最大限に発揮できる組織風土の醸成

  • (b)

    社員一人ひとりが安全・安心・健康に、いきいきと働ける職場の実現

  • (a)

    ダイバーシティ・マネジメントを通じ、多様な人材が活躍できる職場づくりに注力する

    目標
    • 新規学卒者の採用における女性比率20%以上
    • 2023年4月1日時点の管理職に占める女性数24名(2015年4月対比倍増)
    指標(KPI)
    • 新規学卒者の採用における女性比率(%)
    • 管理職に占める女性数(人)
  • (b)

    労働安全衛生マネジメントを通じ、安全を最優先とする職場づくりに注力する

    目標

    労働災害ゼロの実現(同社単位)

    指標(KPI)
    • 業務上死亡者数(人)
    • 労働災害発生件数(件)
    • 災害度数率(%)
    • ISO45001取得拠点比率(%)
5 ジェンダー平等を実現しよう
8 働きがいも経済成長も
CSR調達の推進

サプライチェーン全体を通じたサステナブル調達の取り組みを推進する

  • CSR調達ガイドラインに基づいたサプライチェーンマネジメントの高度化

    目標

    サプライチェーン全体を通じたCSR調達の取り組み推進

    指標(KPI)

    サプライヤー調査実施率(%)

8 働きがいも経済成長も
12 つくる責任、つかう責任
16 平和と公正をすべての人に

上記KPIのモニタリング状況

テーマ 目標と指標(KPI) 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績
1 CO2排出量削減への貢献
  • (a)

    事業活動におけるCO2排出量削減

    目標
    • 2050年までにグループ全体でのカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を目指す
    • 製品の製造時のCO2排出量(Scope1、2)を2030年までに50%削減(2019年度比)
    指標(KPI)

    事業活動によるCO2排出量(Scope1、2)

  • 事業活動によるCO2排出量(Scope1、2):193,806 t-CO2
  • 2019年度比1.69%増加
  • (b)

    製品使用時におけるCO2排出量削減

    目標

    製品使用時のCO2排出量(Scope3カテゴリ11)を2030年までに30%削減(2019年度比)

    指標(KPI)

    製品使用時のCO2排出量(Scope3カテゴリ11)

  • 製品使用時のCO2排出量(Scope3カテゴリ11):79,946,933 t-CO2
  • 2019年度比64.55%削減
2 廃棄物・資源再生における取り組み
  • (a)

    事業活動での廃棄物ゼロ

    目標

    事業活動での廃棄物ゼロを目指す

    指標(KPI)

    廃棄物排出量(最終処分量)(t)

1,004t
同社グループ内の廃棄物関連目標として設定している「埋立率0.5%未満を目標としたゼロエミッション継続」と「廃棄物発生量原単位削減(国内:2017~2019年度平均維持、海外:2019年度比3%削減)」は計画通り進捗。
  • (b)

    資源再生による廃棄物削減に貢献する製品の研究開発強化

    目標

    資源再生に資する取組の推進

    指標(KPI)

    資源再生に資する製品・技術等の開発状況

プラスチックの環境問題対応として、プラスチック機械事業部にて、ケミカルリサイクルによる高品質製品に再生可能な重合工程の検討を実施。
3 労働生産性の向上・労働環境の改善
  • 「製品の自動化・省人化」を通じたインフラ高度化に関する研究開発の強化

    目標

    製品の自動化・省人化を通じたインフラ高度化による、お客様の労働生産性向上・労働環境の改善

    指標(KPI)

    「製品の自動化・省人化」を通じたインフラ高度化に資する研究開発の状況

  • 建設機械の運転支援、遠隔・自動化や電動化に関する技術開発を推進、移動体やロボット商品の知能化・高度化、適用試験を実施。
  • センシング、情報処理技術を用いて、建設機械、物流搬送機械の自動化領域を拡大。
4 人材マネジメント
  • (a)

    ダイバーシティ・マネジメントを通じ、多様な人材が活躍できる職場づくりに注力する

    目標
    • 新規学卒者の採用における女性比率20%以上
    • 2023年4月1日時点の管理職に占める女性数24名(2015年4月対比倍増)

    「新規学卒者の採用における女性比率」及び「管理職に占める女性数倍増」につき、同社の新目標を踏まえ別途変更予定

    指標(KPI)
    • 新規学卒者の採用における女性比率(%)
    • 管理職に占める女性数(人)
  • 新規学卒者の採用における女性比率:20.8%(単体ベース)
  • 管理職に占める女性数:28名(2.7%)(2022年12月)
  • (b)

    労働安全衛生マネジメントを通じ、安全を最優先とする職場づくりに注力する

    目標

    労働災害ゼロの実現(同社単位)

    指標(KPI)
    • 業務上死亡者数(人)
    • 労働災害発生件数(件)
    • 災害度数率(%)
    • ISO45001取得拠点比率(%)
  • 業務上死亡者数:0名
  • 労働災害発生件数:6件
  • 災害度数率:0.4%
  • ISO45001取得拠点比率:66.6%(国内主要製造拠点)
5 CSR調達の推進
  • CSR調達ガイドラインに基づいたサプライチェーンマネジメントの高度化

    目標

    サプライチェーン全体を通じたCSR調達の取り組み推進

    指標(KPI)

    サプライヤー調査実施率(%)

6.6%

プレスリリース

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