ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(三井不動産株式会社)
2022年12月
2023年12月評価更新
ポジティブ・インパクト評価(要約)
三井不動産株式会社(以下「三井不動産」)は総合デベロッパーとして、オフィスビル、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設、住宅、及びこれらの複数の用途を組み合わせた複合施設など総合的な街づくりを強みとしており、①賃貸事業、②分譲事業、③マネジメント事業、④その他、と幅広く展開する各事業間で相乗効果を発揮している。
三井不動産は、グループ経営の基本理念や目指すべき企業像を集約したグループステートメント「都市に豊かさと潤いを」をはじめとするステートメント・ビジョン・ミッションを、1999年の策定以来一貫して経営の指針としている(図表①)。2018年には、これらのステートメント・ビジョン・ミッションをベースに、長期経営方針「VISION 2025」を公表し、三井不動産グループが目指していくあり姿の第一に「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」していくことを位置付け、不動産業そのもののイノベーションとさらなるグローバリゼーションを目指し、成長性と収益性に富んだグループであり続けるとともに、持続可能な社会の構築に貢献することを掲げている(図表②)。
三井不動産は、継続的な価値創造プロセスを実現するため、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)を重要な経営課題と位置付けている。長期経営方針「VISION 2025」において、「&」マークの理念のもとESG課題に取り組み、「持続可能な社会」と「継続的な利益成⻑」を実現するための⽬標として、重点的に取り組むべき6つのマテリアリティを策定している(図表③)。
三井不動産は、環境をはじめとするESGへの取組を推進するため、「ESG推進委員会」(委員長:代表取締役社長執行役員)及び下部組織である「ESG推進部会」(部会長:ESG担当役員)を設置している。2021年10月には、ESG・SDGsに関する総括機能を担う「サステナビリティ推進部」を新設し、グリーンエネルギーマネジメント、メガソーラー事業等を担う「環境・エネルギー事業部」とともに、全社部門と連携を図りながら取組を推進している。2022年4月には、「サステナビリティ推進本部」を新設し、ESG・SDGsに関する取組をさらに加速させている(図表④)。
本PI評価では、三井不動産の事業活動全体に対する包括的な分析を行い、「環境負荷の低減とエネルギーの創出」、「街づくりを通した「超スマート社会」の実現」、「健やか・安全・安心なくらしの実現」、「多様な人材が活躍できる社会の実現」の4項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表⑤)。
図表①:ステートメント・ビジョン・ミッション
図表②:VISION2025の概要
図表③:マテリアリティ
図表④:サステナビリティ推進体制
図表⑤:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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環境負荷の低減とエネルギーの創出 |
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街づくりを通した「超スマート社会」の実現 |
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健やか・安全・安心なくらしの実現 |
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多様な人材が活躍できる社会の実現 |
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | |||
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当初 | 2023年12月更新 ※2022年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 環境負荷の低減とエネルギーの創出 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
5,503千t-CO2 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
640千t-CO2 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
原則全物件でZEB/ZEH水準の環境性能を実現 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
首都圏25棟の物件共用部・自用部の電力グリーン化達成 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
2022年度発電量:約0.8億kWh/年 |
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(a)「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」の推進 |
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変更無し |
2023年度内に「建設時GHG排出量算定マニュアル」を用いた建築時CO2排出量算出および削減計画書提出を建設会社等に義務化すべく準備中 |
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(b)水使用量の低減 |
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変更無し |
0.855(m³/m²・年) |
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(c)廃棄物排出量の低減 |
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変更無し |
一般廃棄物:0.0059(t/m²・年) 産業廃棄物:0.0016(t/m²・年) |
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(d)多様な生物生息環境の保全 |
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2023年3月に「三井不動産グループ生物多様性方針」、「三井不動産グループ保有林生物多様性配慮基本計画」を策定 |
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2 | 街づくりを通した「超スマート社会」の実現 |
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変更無し |
スマートシティ化推進の代表的PJである「東京ミッドタウン八重洲」完成 |
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3 | 健やか・安全・安心なくらしの実現 |
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(a)多様な働き方のニーズに合わせたアセット・ソフトサービスの提供 |
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変更無し |
個別の新築PJ毎に随時取り組んでいるが、目新しい取組は無し |
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変更無し |
約4万人 |
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(b)地域社会と連携した防災の拡充 |
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変更なし |
スマートエネルギープロジェクトの新たな導入案件は無し |
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4 | 多様な人材が活躍できる社会の実現 |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
7.7% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
44.1% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
100% |
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(a)ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
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変更無し |
16.2日 |
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(b)人権の尊重 |
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変更無し |
2022年度に新たに追加でサプライヤーアンケートを実施した先は無し |
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