2020年3月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

日本製紙グループは、2015年に企業グループ理念を明文化し、スローガンに「木とともに未来を拓く」を掲げ(図表①)、洋紙事業の生産体制再編成を進めるとともに、パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギー、木材を成長分野として位置づけ、積極的な投資、経営資源の集中を図っている。また、同社グループは、「木」を原料とする紙を長年にわたり社会へ安定的に供給することにより、社会と文化の発展に貢献してきた。今後も持続可能な社会の構築のため、紙づくりの技術的蓄積をもとに、「木」から新しい製品を生み出し、エネルギーとしても利用すること推進している。尚、同社グループのCSR活動を統括するCSR本部は代表取締役の方針・指示を滞りなく反映できる位置づけにあり、グループ業務監査を行う経営監査室と連携してグループ内部統制システムの機能を担っている(図表②)。

また、第6次中期計画(最終年度:2020年度)に2020年目標として11の重要課題(マテリアリティ)に関する定性目標を設定している(図表③)。

本評価では、日本製紙グループの事業活動全体に対する包括的な分析を行い、「1.持続可能性と生物多様性に配慮した原材料調達」、「2.気候変動問題への取り組み」、「3.資源循環による環境負荷低減」、「4.活力ある組織づくり」、「5.環境と社会に配慮した製品提供」の5項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表④)。

図表①:企業グループ理念

図表②:CSR推進体制

図表③:マテリアリティ

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
持続可能性と生物多様性に配慮した原材料調達
  • 持続可能な原材料調達
  • 生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率100%を維持継続
  • 製紙原料100%を森林認証制度で認められた材とする
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を継続
  • 自社林の森林認証取得率100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの100%実施
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
気候変動問題への取り組み
温室効果ガス排出量削減
  • 温室効果ガス排出量を2020年度までに2013年度比で10%削減する
    現在、長期ビジョン・目標の設定を検討中であり、2020年9月を目処に開示予定
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
13 気候変動に具体的な対策を
資源循環による環境負荷低減
  • 循環型社会の形成
  • リサイクルの推進
廃棄物の再資源化率98%以上
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
活力ある組織づくり
基本的人権と個性の尊重を基本に、多様な人材が能力を発揮できる活力のある組織
  • 働き方の見直しに向けた施策の導入
  • 女性総合職採用率25%以上
  • 女性総合職の平均継続雇用比率0.8倍以上
  • 女性管理職を2020年までに倍増(2013年比)
8 働きがいも 経済成長も
10 人や国の不平等をなくそう
環境と社会に配慮した製品提供
  • 環境に優しいパッケージ
  • クルマのCO2排出低減、安全性、品質向上への貢献
3 すべての人に健康と福祉を
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を

上記KPIのモニタリング状況

テーマ 目標と指標(KPI) 2019年度実績 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績
1
持続可能性と生物多様性に配慮した原材料調達
持続可能な原材料調達
  • 自社林の森林認証100%
  • 製紙原料を森林認証制度で認められた材とする率100%
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を維持
持続可能な原材料調達
  • 自社林の森林認証:100%
  • 製紙原料を森林認証制度で認められた材とする:100%
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率:100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を維持:2019年度国内材利用率35.8%>国内の木材自給率32.4%
持続可能な原材料調達
  • 自社林の森林認証:100%
  • 製紙原料を森林認証制度で認められた材とする:100%
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率:100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を維持:2020年度国内材利用率39.5%>国内の木材自給率33.4%
持続可能な原材料調達
  • 自社林の森林認証:100%
  • 製紙原料を森林認証制度で認められた材とする:100%
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率:100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を維持:2021年度国内材利用率37.6%>国内の木材自給率35.8%
持続可能な原材料調達
  • 自社林の森林認証:100%
  • 製紙原料を森林認証制度で認められた材とする:100%
  • 海外材チップ・パルプサプライヤー向けアンケート実施率:100%
  • 国内の木材自給率を上回る国産材利用率を維持:2022年度国産材利用率35.1%<国内の木材自給率35.9%
生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの実施100%
生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率:100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの実施:全ての木質原材料へのデューデリジェンスを行い、その合法性を確認。
生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率:100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの実施:全ての木質原材料へのデューデリジェンスを行い、その合法性を確認。
生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率:100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの実施:全ての木質原材料へのデューデリジェンスを行い、その合法性を確認。
生物多様性の保全
  • 自社林の森林認証取得率:100%
  • 自社林での伐採前の希少種チェックの実施:全ての木質原材料へのデューデリジェンスを行い、その合法性を確認。
2
気候変動問題への取り組み
  • 2030年目標:GHG排出量(Scope1+2) 2013年度比54%
  • 2050年カーボンニュートラル

2020年度に当初目標『現時点では、2020年度までの目標設定(2013年度比で10%削減)のみであるが、現在、長期目標の設定を検討中であり、2021年6月を目処に開示予定。』を上記内容に見直しております。

2023年度に『2030年目標:GHG排出量(Scope1+2) 2013年度比▲45%、2050年カーボンニュートラル』から上記内容に見直しております。

  • 2013年度比▲21%。
  • 2013年度比▲20%。
  • 2013年度比▲30%。
3
資源循環による環境負荷低減

廃棄物最終処分率2%以下

2020年度に当初目標「廃棄物の再資源化率98%以上」を上記内容に見直しております。

97.2%
2.39%
2.10%
1.58%
4
活力ある組織づくり

仕事と家庭を両立できるより良い雇用環境づくり(インパクト)へのKPIは以下の通り設定する。

  • 働き方の見直しに向けた施策の導入
  • 女性総合職採用率25%以上
  • 女性総合職の平均継続雇用比率0.8倍以上
  • 直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した女性労働者の割合80%以上(直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した男性労働者の割合対比)

2020年度に当初目標『女性管理職を2020年までに倍増(2013年比)』を上記内容に見直しております。

  • 働き方の見直しに向けた施策の導入
    2020年4月、以下4つの制度を導入。

    • 1
      失効積立年休(保存休暇)の半日単位取得制度
    • 2
      短期育児休業への所定休暇(失効積立年休)の充当
    • 3
      非世帯主の単身赴任時の援助制度
    • 4
      配偶者海外赴任休職制度
  • 女性総合職採用率:26%
  • 女性総合職の平均継続雇用比率:0.8倍
  • 女性管理職を2020年までに倍増:2.43%
  • 働き方の見直しに向けた施策の導入
    2021年4月、以下3つの制度を導入・改訂

    • 1
      フレックスタイム制度改訂(コアタイム撤廃)
    • 2
      在宅勤務制度(常設制度)導入(対象:在宅勤務が可能な業務を担う従業員)
    • 3
      時間単位年休導入
  • 女性総合職採用率:35%
  • 女性総合職の平均継続雇用比率:0.9倍
  • 女性管理職を2020年までに倍増:2.65%
  • 働き方の見直しに向けた施策の導入
    2022年4月、以下3つの制度を導入・改訂

    • 1
      不妊治療や妊娠に関わる休務、疾病治療に伴う断続的な休務への失効積立年休適用
    • 2
      育児援助措置等の適用期間延長(小学校就学前から小学校3年生の学年末までに延長)
    • 3
      育児休業・介護休業取得者の昇給ルールの見直し
  • 女性総合職採用率:30%
  • 女性総合職の平均継続雇用比率:0.9倍
  • 直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した女性労働者の割合80%以上(直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した男性労働者の割合対比):102%
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定(計画期間:2023年4月1日から2025年3月31日までの2年間)
  • 希望する労働者に対する職務や勤務地等の限定制度を実施(2024年10月以降)
  • 出産や子育てによる退職者についての再雇用制度を再整備(2023年10月以降)
  • 女性総合職採用率:40%
  • 女性総合職の平均継続雇用比率:0.8倍
  • 直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した女性労働者の割合80%以上(直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した男性労働者の割合対比):101%
5
環境と社会に配慮した製品提供におけるインパクト
  • 2030年度に売上高1兆3,000億円のうち、50%以上をセグメント「生活関連事業」の売上高とする
  • 2030年度にセグメント「生活関連事業」の営業利益率を7%以上とする

2020年度に当初目標『2020年度セグメント「生活関連事業」の売上高2,350億円』及び『2020年度セグメント「生活関連事業」の営業利益180億円』を上記内容に見直しております。

  • 「生活関連事業」の売上高:2019年度実績2,106億円(前期比+99億円)
  • 「生活関連事業」の営業利益:2019年度実績126億円(同+10億円)
  • 「生活関連事業」の売上高:2020年度実績3,179億円(前期比+477億円)
  • 「生活関連事業」の営業利益:2020年度実績79億円(前期比▲50億円)

2020年度にセグメントを入替えたため、前期比は入替え後の2019年度実績との差異を記載しております。

  • 「生活関連事業」の売上高:2021年度実績3,865億円(前期比+686億円)
  • 「生活関連事業」の営業利益:2021年度実績48億円(前期比▲31億円)
  • 「生活関連事業」の売上高:2022年度実績4,401億円(前期比+536億円)
  • 「生活関連事業」の営業利益:2022年度実績▲78億円(前期比▲126億円)

プレスリリース

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