UWC ISAKへの支援
多様なバックグラウンドを持つ子供たちへの教育支援
関連するSDGs
SDGsの第4の目標は「教育」です。当グループは「真の持続可能な社会をつくるためには次世代の育成が重要である」との認識の下、2013年~2023の11年間、教育を通じて世界の貧困問題解決に取り組むUWC ISAKを支援し、サマースクールに参加する奨学生1名の授業料や渡航費などを支援しました。同校には世界各国からさまざまなバックグラウンドを持った生徒たちが集まります。ユニークな授業や共同生活を経験した生徒は「Life Changing experience!(人生が変わるような経験だった)」と言って母国に帰ります。
当グループが支援した生徒たち(2013~2023)
三井住友トラストグループは毎年1名の奨学生の授業料などを支援してきました。
2023年
インド
Monicaさん
2022年
メキシコ
Akiraさん
2022年
日本
Hikaruさん(部分奨学生)
2021年
オーストラリア
Nikoさん
2021年
ベトナム
Khanh Chiさん(部分奨学生)
2019年
インド
Hemantくん
2018年
インド
Prathanaさん
2017年
インド
Prashanthくん
2016年
メキシコ
Eduardoくん
2015年
インド
Thanujaさん
2014年
インド
Thulasiさん
2013年
ベトナム
Hong Lienさん
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で従来通りの支援ができませんでしたが、2021年度より日本国内在住の学生(全額奨学生1名・部分奨学生1名)を支援しています。
2023年
インド Monicaさん
Monicaさんの夢は、自分と同じように経済的に困難な家庭環境にある子供たちへ希望の未来を与えることです。彼女が感じている社会課題の一つに「貧困」があり、生まれた家庭環境や肌の色に関係なく平等な機会を提供できるような社会をめざしたいという強い思いを持っています。「多くの人にインドの貧困の現状を知ってもらいたい。そのために、教育の力によって自らがチェンジメーカーとなり、自分の生い立ちを多くの人に伝えインドの少女たちの声を代弁し、社会課題の解決に尽力したい。」と熱く語ってくれました。
2022年
メキシコ Akiraさん
メキシコ人の父親を持つAkiraさんは、メキシコの文化に強い誇りを持っていて、新しくできたサマースクールの友達にメキシコについて積極的に話していました。彼の明るく前向きな態度、聞き上手な性格は授業でも積極的に発揮されました。メキシコと日本人の親を持つハーフとしていじめられた経験もある彼にとって、サマースクールは多様なバックグラウンドから来た友達が多くとても安心する場所だったようです。
「安心できる場所だからこそ自らの力や創造性を発揮できると感じた」と話していました。
2022年
日本 Hikaruさん(部分奨学生)
将来はパティシエになりたいと話すHikaruさんは、絵を描いてクラスメイトと交流したり、ダンスを通じて場を盛り上げたり、自信がなかった英語を使って自分の意見を言えるようになったりと、2週間で積極的に人と関わることができるようになりました。サマースクールを通じて、育った環境やバックグラウンドの違う人たちとの接し方を学ぶことができたそうです。映画が大好きな彼は、Film&Diversityの授業を通じてさまざまな角度から物語を作ることができると学び、それを将来お菓子作りにも役立てたいと話していました。
2021年
オーストラリア Nikoさん
オーストラリアのシドニーで生まれ育ったNikoさんは、9歳で来日して以降、日本の学校に通っています。コロナ禍で学校がリモート授業になり、時間を持て余している地域の子供たちに対して英語教室を主催するなどリーダーシップを発揮する一方、良い聞き手として思いやりを持って周囲と会話し信頼関係を築くことにも長けています。周囲から「ハーフ」という自分の存在について質問されたことをきっかけに、自らのアイデンティティを深く考え、世界中で起きている人権問題やLGBTQの課題について関心を持つようになり、「差別のない社会実現に向けて働きかけをしたい」と考えています。多様なバックグラウンドで生まれ育ったことから「なりたい自分」を理解しており、サマースクールで実施された「自分と異なるジェンダーと話すプロジェクト」では、率先して会話をリードしていました。なかなか本音の会話にならない教室の空気を読み、自ら「ハーフ」として味わった辛かった体験を打ち明け、皆が心の内を打ち明けられる環境を作り出し、中学生とは思えない対応をしたと学校スタッフを驚かせました。
2021年
ベトナム Khanh Chiさん(部分奨学生)
ベトナムのホーチミン生まれのChiさんも日本の学校に通っています。「社会を変えるためには自らの成長が最も必要」と3か国語を操り、地域に住む子供たちにベトナム語や英語を教える教室を主催したり、独学でプログラミングも学んだりするなど多彩です。外国人として日本に住んでいることであらゆる課題意識を持っており、特に「日本で働く外国人労働者の労働環境や労働条件について働きかけをしたい」と考えています。困っている人を見るとすぐに助け、積極的に周囲に声がけをし、誰とでもすぐ友達になれ明るく聡明な性格ですが、サマースクール初めは緊張していたそうです。カラオケナイトの日に皆の前で歌を披露したことで自分の殻から抜け出し、自分らしく周りと触れ合えるようになりました。周囲の理解とポジティブな環境も手伝って、英語に対する苦手意識を克服し、自分の意見を自分の言葉で伝え堂々と発表できるようになりました。サマースクールを通じて自己肯定感が芽生え、英語で表現する意欲は格段に上がったそうです。
2019年
インド Hemantくん
Hemantくんは「シャンティ・バーバン」からサマースクールに参加しました。当グループが過去に支援した生徒とは全員知り合いで「今年は自分が参加することになって本当に嬉しい、継続支援に感謝します」と話していました。
母国インドについて「スラム街や貧困のイメージが強いかもしれないけれど、識字率100%の綺麗な街やシリコンバレーのような街もあり、成長著しい国です。どの国にも二面性はあります」と説明し、私が見学した「Finding Purpose(問題解決)」のグループディスカッションでは随所で皆を牽引するリーダーシップを発揮していました。
「経済の仕組みが分かれば、自分も家族も国をもサポートできるはず」と、公認会計士になりたいというビジョンを力強く語ってくれました。近い将来、Hemantくんの夢が実現するように心から願っています。
2018年
インド Prathanaさん
Prathanaさんは「シャンティ・バーバン」からサマースクールに参加しました。3才から家族と離れて生活し、支援を受けながらシャンティ・バーバンで学んでいます。インドの社会の中で差別を受けた経験や大人になると皆インドから出て行ってしまう現状から、自分の国を自らの手で変えたいという強い問題意識を持って勉強に励んできました。「心臓病を治す医者になって、将来はインドに病院を建てたい」という明確な夢を話してくれました。
2017年
インド Prashanthくん
Babuくんは「シャンティ・バーバン」からサマースクールに参加しました。シェイクスピアが好きで趣味はサッカーと話す姿は普通の中学生です。しかし、階級差別によって社会の中で差別を受けた経験から、インドにはびこる汚職や差別、貧困問題、ブラックマネーについて強い問題意識を持っています。高校への進学を希望しており「チェンジメーカーになって、将来は母国にシャンティ・バーバンのような学校を創りたい」と夢を語っていました。
2016年
メキシコ Eduardoくん
Eduardoくんの出身国メキシコでは、臓器移植のために人身売買や殺人が起こり、小さな子供たちも犠牲になっています。彼はそんな社会問題に怒りを感じ、将来は安全に適切に臓器を提供する組織を立ち上げたいと考えています。異文化への関心が高く「もっと視野を広げて将来に生かしたい」とサマースクールに参加しました。「どんな困難に陥っても、それをチャンスと捉えることが大切だと学んだ」と話し、2017年9月に同校の高校に入学しました。
2015年
インド Thanujaさん
Thanujaさんは「シャンティ・バーバン」出身で、山登りや外で遊ぶことが大好きな明るい女の子です。サマースクールでは、リーダーシップとダイバーシティの授業を通じて多様性について学び「さまざまな国の生徒と話すことができて非常に刺激を受けた」と話していました。5カ国語が堪能で、好きな科目は物理・科学・数学という好奇心旺盛な彼女は、「将来は女性教育に貢献したい、システムエンジニアになりたい」と熱く語っていました。
2014年
インド Thulasiさん
Thulasiさんは、インドのカースト(世襲的階級制度)によって社会的、経済的に不利な立場に置かれた子供のための教育機関「シャンティ・バーバン」出身です。明るく人懐っこい性格で、同級生を助けスタッフには手伝いを申し出る優しい女の子です。一方で、カーストについてクラスメイトと熱心に話し合うなど社会問題への関心が高く、特に興味があるのはインドの女性や貧困層の問題で「将来は外科医になりたい」と熱心に生物学を学んでいました。
2013年
ベトナム Hong Lienさん
Ngyuenさんは、2014年に高校に入学し2017年には初の卒業生になりました。高校では、高齢者向け施設の訪問や、障害のある方や孤児とともに作業を実施するなど、軽井沢のコミュニティに貢献しました。
チェンジメーカーを志し、先輩の「何をしても逆風が吹いて物事が動かないときもあるが、それでも前向きに、自分を信じること」という言葉を胸に刻み、猛勉強の末に大学進学の権利を勝ち取り、アメリカの名門大学へ進学しました。
インドの子どもたちへの支援
インドには2000年にわたって続いてきたカースト(世襲的階級制度)があります。1950年に制定されたインド憲法はカーストによる差別を禁止しましたが、現在でもインド社会に深く根強く存在し続ける差別や貧困によって教育の機会を得られない子どもがたくさんいます。また、インドには義務教育制度や貧困層のための学校はあるものの、貧しい家庭は一人でも多くの働き手が必要なため、教育は不要と子どもを学校に通わせない親もいるのです。
インドにある「シャンティ・バーバン」は、こうした社会的・経済的に不利な立場に置かれた子どもたちへの教育を目的に設立された学校です。カースト制度最下層やカースト外の子どもたちに安定した生活環境のもと、十分な教育を受ける機会を与えることで、次世代への負の連鎖を断ち切ろうとしています。
当グループが支援しているインド出身の生徒は、いずれも「シャンティ・バーバン」から奨学生としてサマースクールに参加した生徒です。差別や貧困、女性の人権などに強い関心を持ち、母国をより良くしたいと強く望む彼らが、将来チェンジメーカーとなってカースト制度を根絶する活動にも携わることができるよう、今後も見守っていきます。
UWC ISAKとは
軽井沢の大自然の中にキャンパスを構える「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(UWC ISAK)」は国際社会で活躍できるチェンジメーカーを育成する全寮制の高校です。世界70カ国から生徒を受け入れており、全校生徒約200名のうち7割が海外からの留学生です。経済的に恵まれない子供たちも多く、全生徒の7割が返済不要の奨学金を受給しています。
UWC ISAKの最大の魅力は、世界中から集まった仲間との寮での共同生活です。国籍だけでなく社会的、経済的にもさまざまなバックグラウンドをもつ生徒たちが、お互いの立場や文化などを強く自覚し、共有し合っています。生徒たちはこうした環境下で異なる価値観や信条を、否定したり排除するのではなく、理解して尊重する大人へと育っていきます。
チェンジメーカーを育成するUWC ISAKへの支援
当グループは「チェンジメーカー(社会を変革する担い手)を育てよう」という「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(略称UWC ISAK)」の教育理念に賛同し、2013年より、中学生を対象に同校の教育を2週間にわたって体験することができる「サマースクール」をサポートしています。このサマースクールには開発途上国や経済的に困難な生徒たちも多く参加しており、当グループはインドなどの開発途上国から奨学生として参加する生徒1名の授業料などを支援してきました。今後も、一人でも多くのチェンジメーカーが世界に羽ばたいていけるよう、この支援を継続していきます。