2021年1月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

サッポロホールディングス(以下「サッポロHD」)は、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」に基づく「グループ経営計画2024」の中で、「基本方針」の1つとして「サステナビリティ経営の推進」を掲げている。また、社会課題に対する事業を通じた取り組みを「サステナビリティ経営」として推進するため、「サッポログループサステナビリティ方針」を策定し、その下でサステナビリティ経営戦略「Sustainable Smile Plan」を展開している(図表①)。

サッポロHDはグループのサステナビリティ活動推進のための全体方針を策定し、グループ内の連携・調整を行うための機関として、代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置している。また、サッポロHD経営企画部は、グループ各社のサステナビリティ活動推進のための諸施策を立案・実施しているほか、事業会社のサステナビリティ担当者の会議を隔月で開催し、情報共有と進捗の確認を行い、サステナビリティ活動におけるPDCAサイクルを回している(図表②)。

サッポロHDは、経営への影響度とステークホルダーへの影響・関心度の二軸及びサッポログループの長期経営ビジョン「SPEED150」、「グループ経営計画2024」を踏まえ「サッポログループサステナビリティ重点課題中長期目標」を策定した(図表③)。

本評価では、サッポロHDの事業活動全体に対する包括的な分析を行い、「1.『酒・食・飲』による潤いの提供」、「2.社会との共栄」、「3.環境保全」の3項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表④)。

図表①:Sustainable Smile Plan

図表②:サッポログループのサステナビリティ推進体制

図表③:サッポログループサステナビリティ重点課題中長期目標

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
「酒・食・飲」による潤いの提供
  • a.
    安全・安心の品質
  • b.
    新価値創造
目標
  • a.
    目標:2030年に品質トラブルゼロを目指す
  • b.
    新たな顧客価値を提供する
指標(KPI)
  • a.
    品質トラブルを起こさないための取り組み状況
  • b.
    新価値を創造する研究や製品開発の状況
2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
17 パートナーシップで目標を達成しよう
社会との共栄
  • a.
    地域貢献
  • b.
    持続可能な調達
目標
  • a.
    行政やパートナーと連携した「まちづくり」による地域の魅力向上
  • b.
    2030年に主要調達先のうち、サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合を90%以上とする(サッポロビール、ポッカサッポロ)
指標(KPI)
  • a.
    まちづくりにおける行政等との連携による地域への貢献状況
  • b.
    サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合
6 安全な水とトイレを世界中に
8 働きがいも 経済成長も
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
17 パートナーシップで目標を達成しよう
環境保全
  • a.
    地球温暖化防止
  • b.

    3Rの推進

    • 1
      水資源
    • 2
      容器包装
    • 3
      廃棄物
  • c.
    自然との共生
目標
  • a.
    2050年に自社拠点でのCO2排出量ゼロ
  • b.
    • 1
      生産工場における水使用総量を2030年までに2013年比で10%削減する(サッポロビール、ポッカサッポロ)
    • 2
      2050年に循環型社会に対応した容器の100%使用
    • 3

      廃棄物再資源化率の向上に努め、2030年までに主要工場では100%を実現する

      サッポロビール、ポッカサッポロ

  • c.
    様々な地域で良質なビール原料の安定的な生産の実現
指標(KPI)
  • a.
    CO2削減量
  • b.
    • 1
      生産拠点水使用量(サッポロビール、ポッカサッポロ)
    • 2
      循環型社会への対応容器浸透状況(リデュース、素材代替の実績)
    • 3
      廃棄物再資源化率(サッポロビール、ポッカサッポロ)
  • c.
    気候変動に耐える品種開発の進捗状況
2 飢餓をゼロに
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
17 パートナーシップで目標を達成しよう

上記KPIのモニタリング状況

開示資料

目標と指標(KPI) 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績
1 「酒・食・飲」による潤いの提供
  • a)

    安全・安心の品質

    2030年に品質トラブルゼロを目指す

  • グループ各事業会社間での定期コミュニケーション継続、現場確認を実施。品質トラブルの発⽣なし。
  • グループ各事業会社間での定期コミュニケーション継続、現場確認を実施。AI等を駆使して品質チェックを強化。品質トラブルの発生なし。
  • b)

    新価値創造

    新たな顧客価値を提供する

  • ビールテイスト商品:新ジャンル「GOLD STAR」、世界初成分配合の尿酸値を下げるノンアルビールテイスト「うまみ搾り」など、おいしさ・健康への新価値商品を発売(SB)。
  • 食品領域:コア素材レモンを活かした商品開発や豆乳ヨーグルトの健康機能検証を実施(PS)。
  • ビールテイスト商品:お客様の多様なニーズに応える商品として、微アルコールビールテイスト「サッポロ The DRAFTY」を新発売(SB)。
  • 食品領域:レモンをはじめ食物性素材を活かした製品づくりを実施。株式会社ヤクルト本社と「植物性素材と乳酸菌のチカラで、毎日の健康とおいしさを提供する」をテーマとした研究・開発を行う業務提携を締結(PS)。
2 社会との共栄
  • a)

    地域貢献

    行政やパートナーと連携した「まちづくり」による地域の魅力向上

  • 連携協定締結数:62件(2020年12月現在)
  • 被災地食材を取り入れ各地の食材のおいしさを発信(SLN)。
  • 保有施設の開放の他、近隣地域の行事への協力実施(SRE)。
  • コロナ禍の飲食店支援として渋谷区テイクアウト・デリバリーMapへ協賛(SH,SB,SRE)。
  • 連携協定締結数:63件(2021年12月現在)
  • コロナ禍対応として、こども食堂、社会福祉施設、医療従事者を含むエッセンシャルワーカーへ製品他の提供を実施。
  • 地域の素材を取り入れた商品または地域限定商品を発売。
  • 東北復興支援「東北未来プロジェクト」による支援実施。
  • b)

    持続可能な調達

    2030年までに全ての主要調達先がサステナビリティ調達ガイドラインを満たす(サッポロビール、ポッカサッポロ)

    2021年度に当初目標「2030年に主要調達先のうち、サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合を90%以上とする(サッポロビール、ポッカサッポロ)」を上記内容に見直しております。

  • 主要サプライヤーに対して「マーケティング方針説明会」等で、グループ調達基本方針、サスティナビリティ調達の説明と要請実施。CSR調達アンケートを主要サプライヤーに対して実施し、サスティナビリティ調達の実施状況を確認。主要調達先のうち、サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合は89%となった(SB,PS)。
  • サプライヤー満足度調査を実施し、サッポログループ調達基本方針の浸透度と「公正・公平」な調達活動等に関する評価実施(SB,PS)。
  • 主要サプライヤーに対して「マーケティング方針説明会」等で、グループ調達基本方針、サスティナビリティ調達の説明と要請実施。CSR調達アンケートを主要サプライヤーに対して実施し、サスティナビリティ調達の実施状況を確認。主要調達先のうち、サステナビリティ調達ガイドラインを満たす調達企業の割合は100%となった。100%維持を目指し、引き続き持続可能な調達に関する取り組みを推進(SB,PS)。
  • サプライヤー満足度調査を実施し、サッポログループ調達基本方針の浸透度と「公正・公平」な調達活動等に関する評価実施(SB,PS)。
3 環境保全
  • a)

    地球温暖化防止

    2050年に自社拠点でのCO2排出量ゼロ

  • 自社拠点CO2排出量削減率:2013年比▲11%達成
  • 自社拠点以外のバリューチェーンにおけるCO2排出量(スコープ3)削減に向け、4事業会社2019年度算定を実施。
  • TCFDシナリオ分析は、ビール原料農産物の収量に関する分析を終了し、リスク・機会を特定。
  • 自社拠点CO2排出量削減率:2013年比▲23%達成。2030年目標である「2013年比▲20%」を達成しており、2022年内に新目標について公表予定。
  • TCFDシナリオ分析はビール原料農産物の収量に関するシナリオ別分析を実施。リスク・機会の特定とともに戦略と目標を策定。
  • b)

    3Rの推進

    • 1

      水資源

      生産工場における水使用総量を2030年までに2013年比で10%削減する

      (サッポロビール、ポッカサッポロ)

    • 2

      容器包装

      2050年に循環型社会に対応した容器の100%使用

    • 3

      廃棄物

      廃棄物再資源化率の向上に努め、2030年までに主要工場では100%を実現する

      サッポロビール、ポッカサッポロ

    ※以下、2021年度より追加

    • 4

      プラスチック

      • 2030年までに化石燃料由来のワンウェイプラスチック製広告品類を国内で原則廃止する(サッポロビール)
      • 2030年までに国内製造ワインのペットボトルへのリサイクル原料の使用割合を50%とする(サッポロビール)
      • 2030年までに販売するPETボトル商品においてリサイクル原料の使用割合を50%とする(ポッカサッポロ)
  • 1

    水資源

    • 生産工場における水使用総量削減率:2013年比▲7.7%達成(SB,PS) 
    • 国内外生産拠点における水リスクの調査を実施、2021年に開示予定。
  • 2

    容器包装

    酒類・食品飲料製品容器包装リデュース・循環型社会対応素材転換拡大施策実績例:軽量アルミ缶・缶蓋の展開拡大(SB)、ビール6缶紙包材へのFSC森林認証表示開始(SB)、ショートフラップ段ボール使用拡大(重量比▲約115トン;PS)、軽量樹脂キャップの使用拡大(約30百万個/重量比▲約15トン;PS)、即席お徳用みそ汁の内包プラスチックトレイ廃止(プラスチック重量比▲約30%;SSI)

  • 3

    廃棄物

    • 廃棄物再資源化率:主要12工場で達成を目指す中、1工場のみ未達(SB,PS)。
    • 食品廃棄物の再生利用等実施率:43.3%(SLN)
    • 流通での食品ロス削減に寄与すべく、ビールテイスト製品の賞味期限の月表示への切り替え実施(SB)。
  • 1

    水資源

    • 生産工場における水使用総量削減率:▲14.0%達成。2030年目標である「2013年比▲10%」を達成したものの、2021年はコロナ禍における生産量減の一過性要因もある。
    • 6ヵ国28拠点の生産拠点と大麦・ホップのメインサプライヤー拠点について、WRIの「Aqueduct」により水リスクを調査。2020年時点の生産拠点地域のリスクレベルでは「Extremely High」は無く、ベトナムのロンアン工場の地域のみが「High」に該当。
  • 2

    容器包装

    酒類・食品飲料製品容器包装リデュース・循環型社会対応素材転換拡大施策例(2021年実績):RTS商品瓶の軽量化により、CO2従来比▲20%、4Lペットボトルの材料使用量▲約16t/年、段ボールの材料使用量従来比▲2.8%

  • 3

    廃棄物

    • 廃棄物再資源化率:主要13工場で廃棄物再資源化率100%を達成(SB,PS)
    • 食品廃棄物の再生利用等実施率:41.4%(SLN)
    • 各カテゴリーにおけるSKU削減および在庫圧縮のKPIを定めて廃棄ロスを削減
  • 4

    プラスチック

    • サッポログループプラスチック方針を策定し、各社具体的取り組みを開始。
    • 再生PET:国内製造ワイン、清涼飲料での採用開始(SB,PS)、ストロー紙化(SB,SLN)
  • c)

    自然との共生

    様々な地域で良質なビール原料の安定的な生産の実現

  • 気候変動に対応可能な特性を持つ⼤⻨・ホップの開発を進めている。評価法導入など着実に進捗(SB)。
  • 自然と共生する暮らしの提供を目指し、恵比寿ガーデンプレイスにおいて、緑地含めた敷地空間の適切な管理を実施し公開。従来の花壇プランターに加えサッポロ広場に農園新設、地元NPO法人共同で野菜等植付実施で収穫野菜の一部を地域団体寄付(SRE)。

大麦:赤かび病抵抗性、穂発芽耐性、その他環境適応性の高い母本選抜等、進捗中(SB)。

ホップ:根系簡易評価法確立のための試験継続(SB)。

SH:サッポロホールディングス、SB:サッポロビール、PS:ポッカサッポロフード&ビバレッジ、SRE:サッポロ不動産開発、SLN:サッポロライオン、SSI:神州一味噌

(※)サッポロホールディングス向け最新のポジティブ・インパクト評価については、以下をご確認ください。
https://www.smth.jp/sustainability/Initiatives_achievements/pif/portfolio31
ポジティブ・インパクト評価の再実施に伴い、本件PIFの2022年度以降のモニタリング実績は、上記ページに集約して開示してまいります。

プレスリリース

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