2020年5月

ポジティブ・インパクト評価(要約)

住友ゴムグループは、1988年から従業員が中心となってボランティアや環境保全など社会貢献に関する取り組みに参加する「GENKI活動」(みんなが元気になる活動)プロジェクトに取り組み、2008年度にCSR活動基本理念と、「Green(緑化)」「Ecology(事業活動の環境負荷低減)」「Next(次世代型技術・製品の開発)」「Kindness(人にやさしい諸施策)」「Integrity(ステークホルダーへの誠実さ)」の五つの枠組みから成るCSRガイドラインを策定(図表①(*1))。

住友ゴムグループは、グループ全体でCSR活動を活発に展開していくためには、「住友ゴムグループCSR活動基本理念」に沿って従業員一人ひとりがCSR活動への理解を深め、自分自身の業務や自主的な活動のなかでCSR活動を実践していくことが大事だとの考えから、全社横断的なCSR推進室を設置している。CSR推進室ではCSRガイドラインの「GENKI」に基づき策定された目標に対する実行計画の策定と成果のモニタリングを行う一方で、監督側の経営会議並びに取締役会は、CSR推進室と関係部署とで議論された内容を受け、ESG課題への目標や取組について議論・監督を行っている(図表②(*2))。

住友ゴムグループは、2011年度に当該CSRガイドラインに則りマテリアリティを特定している。2014年度に19指標を設定、2015年度には当該19指標について「GRIガイドライン(G4)」で求められる内容やステークホルダーへの調査・アンケート実施により取り組みの優先順位付けを実施している(図表③(*3))。

本評価においては、住友ゴムグループの事業活動全体に対する包括的分析が行われ、「緑化」・「事業活動の環境負荷低減」・「次世代技術・製品の開発」・「サプライチェーンマネジメント」の4項目のインパクトを特定し、それぞれのインパクトについて目標と指標(KPI)を設定した(図表④)。

図表①:住友ゴムグループのCSRガイドライン

(*1)2022年度に、ステークホルダーが重視するコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図り、同社グループのESG経営をより進化させるべく、「GENKI」の「G」を「Green(緑化)」から「Governance(ガバナンス)」に変更するともに、「Kindness(人にやさしい諸施策)」を「Kindness(一人ひとりが輝ける寛容な風土)」、「Integrity(ステークホルダーへの誠実さ)」を「Integrity(社会への誠実さ)」としている。

図表②:CSR活動推進体制

(*2)2021年1月に、「サステナビリティ推進本部」を新設。サステナビリティ推進本部が中心となり、全社でESG活動を展開し、SDGs達成に貢献できるようにグローバル環境マネジメントを強化するため、国内外拠点責任者、テーマごとのワーキンググループの責任者などで構成する「サステナビリティ推進委員会」を年2回開催している。

図表③:マテリアリティ

(*3)2021年度に19の指標の内、「ワークライフバランスの推進」と「ダイバーシティ推進」を合わせて「ダイバーシティ & インクルージョン推進」としている。

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)

テーマ 内容 目標と指標(KPI) SDGs
緑化
  • 地球温暖化防止と生物多様性保全
  • 植樹によるCO2吸収量をKPIとして、算出方法を確立した上で目標値を策定
6 安全な水とトイレを世界中に
13 気候変動に具体的な対策を
15 陸の豊かさも守ろう
事業活動の環境負荷低減
  • 低炭素社会の構築
  • 循環型社会の形成
  • 2022年度に2005年度比でグローバルのタイヤ1本あたりのライフサイクルCO2排出量を14%以上削減
  • 全生産拠点の完全ゼロエミッション(再資源化目的で処理された廃棄物の再資源化割合100%と埋立処分量ゼロ)の達成と継続
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも 経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
12 つくる責任 使う責任
13 気候変動に具体的な対策を
次世代技術・製品の開発
  • 「安全・快適」「経済性」「品質」の追求
  • 環境配慮商品の開発
  • 2030年までに全技術を投入してSMART TYRE CONCEPTを完成し交通事故のない世界を実現
  • 制振事業を2025年度に2019年度比160%拡大し、ゴムの技術で地震から人、家、未来を守る
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも 経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
サプライチェーンマネジメント
  • 持続可能な天然ゴムの実現
  • 住友ゴムグループ「持続可能な天然ゴム方針」に沿ったステークホルダーとの連携による取り組み推進
8 働きがいも 経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
12 つくる責任 つかう責任
16 平和と公正をすべての人に

上記KPIのモニタリング状況

開示資料

目標と指標(KPI) 2020年度実績 2021年度実績 2022年8月付「ポジティブ・インパクト評価」再実施(*4)に伴う見直し
1
緑化

目標①
Scope1&2の排出量を2030年に50%削減(2017年度比)・2050年にカーボンニュートラル

KPI①
CO2排出量(Scope1&2)

目標②
国内11か所のGENKIの森の整備推進

KPI②
国内11か所のGENKIの森の整備活動回数

2021年に、同社全体でのCO2排出削減目標が新設されたことに伴い、本テーマの目標及びKPIを従前の「KPIを植樹によるCO2吸収量とし、その算出方法を確立した上で目標値を設定」から上記内容に見直しております。

  • 1,018千t-CO2(2017年度比▲1.7%)
  • 18回(植樹・整備活動)
  • 1,145千t-CO2(2017年度比+10.5%)
    生産量の増加及び自家発電施設の故障の影響で、国内工場のCO2排出量が増加。2022年度は省エネ活動の強化に加え、再エネの活用を進め、CO2削減に取り組む方針。2021年8月には白河工場での水素活用の実証実験も開始。
  • 18回(植樹・整備活動)
  • 本インパクト評価テーマ「緑化」については、CSR活動の側面が強く、事業活動を通じたインパクトの発現という観点で相対的な重要性が低下したため、個別インパクト評価テーマから削除。
  • なお目標①については、インパクト評価テーマ「事業活動の環境負荷低減」にかかる目標として、2022年度以降もモニタリングを継続。
2
事業活動の環境負荷低減
  • 低炭素社会の構築

    目標

    2022年度に2005年度比でグローバルのタイヤ1本あたりのライフサイクルCO2排出量を14%以上削減

    KPI

    グローバルのタイヤ1本あたりのライフサイクルCO2排出量

12.9%削減(2005年度比)
12.3%削減(2005年度比)
  • 同社の取組みが、直接的に環境負荷低減に繋がる領域にフォーカスした目標設定に変更。
    具体的には、上記の通り、本テーマの目標として「CO2排出量(Scope1&2)を2030年に50%削減(2017年度比)・2050年にカーボンニュートラル」を追加。
    また、ライフサイクルCO2排出量(Scope3)に関する目標として、「グローバルのタイヤ1本あたりのライフサイクルCO2排出量の削減」に代え、「タイヤのサステナブル原材料比率」(2030年40%、2050年100%)を新設。
  • 循環型社会の形成

    目標

    全生産拠点の完全ゼロエミッション(再資源化目的で処理された廃棄物の再資源化割合100%と埋立処分量ゼロ)の達成と継続

    KPI

    ゼロエミッション達成継続年数

国内外主要製造拠点において11年連続で完全ゼロエミッション達成
国内外主要製造拠点において12年連続で完全ゼロエミッション達成
  • 2022年度以降は、下記23カ所の生産拠点での完全ゼロエミッション継続状況をモニタリング。

(※)白河工場、名古屋工場、泉大津工場、宮崎工場、加古川工場、市島工場、インドネシア工場、中国・常熟工場、中国・湖南工場、米国工場、タイ工場、トルコ工場、マレーシア工場、中国・中山工場、ベトナム工場、スイス工場、タイ・テニスボール工場、タイ・天然ゴム加工工場、㈱ダンロップリトレッドサービス、㈱ダンロップリトレッドサービス北海道工場、SRIエンジニアリング㈱、中田エンヂニアリング㈱、㈱ダンロップゴルフクラブ

3
次世代技術・製品の開発
  • SMART TYRE CONCEPTの実現

    目標

    2030年までに全技術を投入してSMART TYRE CONCEPTを完成し、交通事故のない世界を実現

    KPI

    研究開発のマイルストーンに対する進捗率

ウェット性能が長続きする水素添加ポリマーや3D波型グルーブ採用にした「VEURO VE304」、氷上性能が長続きする液状ファルネセンゴムを採用した「WinterMaxx WM03」など、性能持続技術を採用した2商品を発売。
  • タイヤ内発電技術を利用した摩耗推定技術を開発。また「センシングコア」ビジネスのステップ1として、2021年に「空気圧・温度管理サービス」の一般販売を開始し、2022年に「センシングコア」の実証実験を開始。
  • 同社市場最高レベルの低燃費性能を実現し、ウェット性能と操縦安定性能を両立した同社初の市販用EVタイヤを発売。
  • 2022年度以降もモニタリングを継続。
  • ゴムの技術で地震から人と家と未来を守る

    目標

    2025年度に2019年度比で制振事業160%拡大

    KPI

    制振装置の導入実績

2021年に当初KPI「制振装置の導入件数」を上記内容に見直しております。

  • 2025年度目標に向けて予定通り推移。
  • 制振装置導入の具体的数値については、次年度より開示予定。
  • 制振事業は、新型コロナの影響で営業活動に制限があったことから2025年目標に向けた計画比下回っているものの、2019年度比では拡大推移。
  • 熊本城(熊本県)、東本願寺(京都府)書写山円教寺(兵庫県)といった歴史的建造物においても、同社制震ダンパーを採用した耐震補強工事が実施されている。
  • 本目標は、同社事業における産業品事業の位置付け及び同社事業セグメントに照らし期待されるインパクト領域を踏まえた重要度等を考慮し、継続的なモニタリング対象からは削除。本インパクト評価テーマでは、同社主要事業であり、より大きなインパクト創出が期待されるタイヤ事業及びSMART TYRE CONCEPTの実現にフォーカスする形で2022年度以降もモニタリングを継続。
4
サプライチェーンマネジメント
  • 住友ゴムグループ「持続可能な天然ゴム方針」に沿ったステークホルダーとの連携による取り組み推進

    目標

    アンケート回答率の向上

    KPI

    アンケート実施の実績とその他ステークホルダーとの対話状況

2021年に当初KPI「アンケート項目の回答率」を、アンケートの実施が無い年についても、取り組み状況をモニタリングすることを目的に、上記内容に見直しております。

  • 回答社数:254社
  • 新型コロナウイルスの影響でCSR説明会は開催できなかったものの、世界最大の天然ゴム取引市場であるシンガポールに、天然ゴム調達会社「SUMITOMO RUBBER SINGAPORE PTE.LTD」を設立し、人権・環境への配慮に取り組みを実施。第三者機関の活用による仕入れ先アセスメントを計画中。
  • 2021年度はアンケートを実施せず。
  • コロナ禍の状況であったが、個社毎のフィードバック・ガイダンスを開催。
  • 2022年からは第三者評価機関EcoVadisを活用。取引先のサステナビリティに関する取組を客観的な基準で統一的に評価することで、課題把握や改善対応の実効性の高めていく方針。
  • 左記のとおり、同社は2022年1月よりEcoVadis社を起用し、サプライヤーに対するESG評価作業の効率化、質の向上、信頼性の確保、ノウハウ蓄積を進めている。これを踏まえ、持続可能なサプライチェーン管理という本インパクト評価テーマの趣旨に照らし、2022年度以降はEcoVadis社のサプライヤー評価受審率(2030年度までに95%)を新たな目標として設定し、評価受審率や評価結果を踏まえたサプライチェーン管理強化の具体的な取組をモニタリング。

(*4)住友ゴム工業向け最新のポジティブ・インパクト評価については、以下をご確認ください。
https://www.smth.jp/sustainability/Initiatives_achievements/pif/portfolio32
ポジティブ・インパクト評価の再実施に伴い、本件PIFの2022年度以降のモニタリング実績は、上記ページに集約して開示してまいります。

プレスリリース

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